ヤヨイ先生のお説教の回
「ハクリ君も大変だねぇ…」
「いやミルも乗り気だったじゃない」
「そういうユリさんもですよ……リリィさん。あまりハクリ君をいじめないように」
シノアの指摘にリリィは頬をぷくーっと膨らませ、不機嫌な表情をする。
「……とりあえず―」
口を挟むようにルリがハクリを指さす。
ハクリはどうしているのかと言うと……
「さぁハクリ君…君が何故女子寮にいるかをぜーんぶ白状してもらおうじゃあないか」
「あは……あはははは……」
「笑って済まされると思わないでくれたまえ……こうして笑っているが、内心は君を殺めるレベルで怒っているんだからな」
椅子に手を縛り付けられ、拘束されているハクリにそう言うと、ヤヨイは手上に魔法陣を形成する。
間違いなくこのままだと殺される。
何故こうなったかと言うと……。
単純である。朝っぱらから散々騒ぎまくり、何事かと様子を見に来たヤヨイに見つかったのである。
ちなみにハクリはほとんど悪くない。
「え、えっと―」
「おねぇ…ヤヨイ先生。これは私達が無理矢理ハクリ君を参加させた事です。処罰尋問は私達が受けるべきです!」
「君は黙っていたまえ。別に私はハクリ君が校則を破った事や女の子達とキャッキャウフフとハーレムを満喫した事に起こっているわけじゃあないんだ。あぁそうだとも」
シノアの説得を全く耳に通さないヤヨイはかなりご立腹のようだ。シノアに言いたい事を言って再びハクリの方へ向き直ったヤヨイは、優しく殺気を帯びた表情で問いかける。
「さぁハクリ君、教えてもらおうか…君はルリ君の部屋で、私の少女達と、一体、どんなハーレムを楽しんだんだい?」
ハクリが救援を求めるようにルリ達の方へ顔を向けるが願い叶わず、全員苦笑するだけでどうすることもなかった。
「あぁなったヤヨイ先生はもう誰にも止められないからね……あはは」
「大人しく罰を受けなさい…あたし達にはもう無理よ……」
「そ、そんな―」
「こっちを向け」
ハクリの頭を掴み、無理矢理自身の方を向かせたヤヨイ。首からえぐい音が聞こえたが、今の恐怖のせいで痛みは感じなかった。
「私は悲しいよ…こんなに可愛い生徒を1人…失ってしまう事がね…」
悲しみなど一切表していない殺気を帯びた笑みを浮かべるヤヨイ。ハクリは顔を青くするしか出来なかった。
「と、いうことがあってだな……それから2日間重労働やらを手伝わされてミャンの家に行けなかった……」
時はミャンが学園に戻ってきた初日に遡る。いきなり1人で登校は無理だと思ったハクリは、少し早めに寮を出てミャンを迎えに行った。そして2人で投稿している最中に、成り行きで先日までの経緯を話した。
「……へ、へぇ…そうなんだ」
鈍感なハクリでも、ミャンが引いていることは目の当たりだった。
「まぁ……死にそうだったようん」
「あ、あはは……」
完全に引いているミャンであった。




