本領
ハクリとアオイ、そしてシルフとニノが見ている光景。それは先程まで無邪気に遊んでいたツバメとツバキ達が一変して相談に乗っている。
「それでね…ママとパパがねーー」
「私は何も悪いことしてないのにーー」
「……嘘だろ」
「ふぇー……ここまでとはねぇ…」
これには流石に二人も感心したようだった。前回の任務で知ったツバメとツバキでさえ知らない特技。お節介なツバメと他人優先のツバキだからこそ出来る、本人でさえ知らない特技だとハクリは思う。
「隊長はこれを見越して二人を?」
「イヨの時に随分満足したような顔してたから…もしかしてと思って。まぁ保証はなかったんだけど……」
苦笑しながら後ろ頭をかくハクリに、アオイは何故か自分でもわからない感情を抱いた。これが何なのかはよく分からない。しかし、その感情はとても暖かく、どこか和やかになれた。
「このままで良さそうだな……ガキ共も安心しきってる」
「もうわけわかんねえ…こいつらと言いあいつらと言い…」
「俺の部下はすごいだろ」
ニカッと笑を見せるハクリ。腹が立ったが何も返せないニノ。
「……ありがとよ」
この時初めてニノが礼を言った。




