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ユア……危機
「つまり…この付近にいる可能性があると…?」
「そういうこった。ほら、ちゃんと提供したんだからよ……約束のもん」
正装した男に促され、和服調の服に身を包んだ少女、ユアが懐から報酬を取り出し、手渡す。自分一人でやると言った以上、誰の手も借りる気はなかった。あの時を思い返すと、単に自分が情任せになってしまっただけだという考えが頭をよぎるが、邪念だと振り払う。
「姉ちゃん若いのに大変だな…。そんな情報で何するんだい?」
「ごめんなさい。機密なんで口外出来ないんです…それじゃあ私はこれで」
早々と立ち去るユアを横目で追い、姿が見えなくなった事を確認する。
「……おい、あいつにマーク貼っておけ」
「了解……」
ユアの今後の行方…機器が迫っていることに、ユア自身も気づくことは無かった。




