会議!ハクリはロリコンなのか!?
「ふわぁ…よく寝たー……あれ?マスター早いですね。もう起きてたんですか」
「……おう。おはよう」
「おはようござ…ってどうしたんですかマスター!」
朝方。ルリが目を覚まし、寝室から出るとハクリは既に日が差し込む窓を眺めていた。しかし、ハクリがルリの方を振り向いた事で目の下の隈が丸わかり、ルリはすごく驚いてた。
あの後ハクリは戻ってきたのだが、やはり眠れず、結局ひと夜を明かしたのだった。
「いや大丈夫大丈夫。別に僕は大丈夫ですよ〜ははは……」
目の焦点が合ってないハクリ。座っているのにふらふらと揺れていた。
「大丈夫じゃないですよね!?どうかしたんですか!?」
「んぅ〜どうかしたの?」
目を擦りながら寝室からルリとハクリのいる部屋に来たユリ。ハクリの顔を見た瞬間ルリと同様の態度をとる。
「な、何よその隈っ!病気?呪い?」
「いや驚きすぎだから……大丈夫。僕は大丈夫ですよぉ…」
「医者よ医者!霊媒師を呼んで!」
いやだから大袈裟だってのに……
「どうかしたんですか〜?」
「ふわぁ〜うるさくって寝てらんないよ…」
ユリのオーバーな反応にシノアとミルが目を覚ましたようだ。
そして―
「ちょっとハクリ君!?何かやばくないかい!?」
「そうですよ!わ、私の薬を…って何を飲ませたら……」
いやだから―
「マスター!死なないでぇ〜うぇーん…」
だから―
「医者!霊媒師!」
「だぁー!うるせぇー!大丈夫だっつってんだろ!俺はただの寝不足!別に呪いにもかかってなけりゃ病気でもねぇっつの!」
寝不足で沸点が低くなったハクリの怒号が響き渡る。ビクッと体を伸ばして硬直する4人。
「……俺は寝る」
そう言い切り寝室に向かうハクリ。
そんなハクリを見て4人は固まったままだった。
「ったく…」
そのまま敷かれたままの布団に寝るのはまずいと思い、とりあえず適当に布団を片す…というか少しずらしてスペースを作った。
そしてそのスペースを使い横たわる。
眠気も限界に来ていたので、ハクリの意識はゆっくりと夢の中へ―
「すぅ……」
いかなかった。
「……忘れてた」
ハクリの目線の先にいるのはリリィ・ノーべリア。先程の件もあり、リリィの存在をすっかり忘れていた。
「気にしない……気にしない…」
ここで気にしていてはハクリの眠気は収まらず終いである。
「眠れ……眠れ俺……」
「すぅ……」
「眠れ……」
「すぅ……」
「リファレン」
「すぅ……」
……だめだ。眠れねぇ。
「よし。場所をうつそ―」
ハクリがその場を立ち去ろうとしたその時、不意にリリィがハクリに抱きついてくる。
「なっ、お前いつの間に!」
引き剥がそうとしても、リリィのすごい力には叶わずされるがままになる。
「抱き枕〜」
「こいつまたこの夢見てるのか…」
どんなにもがいても無駄な足掻き。次第に力は強くなっていき、腰の骨がメキメキと音を立て始める。
「ちょ、これは死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」
そこで昨晩の事が頭を過ぎる。そういえばシノアがこんな時の対処法を教えてくれていた。
しばし考えるハクリ。そんな時間は残されていないと分かっていながらも、考え込んでしまう。なんの躊躇いもなくしてしまえばハクリはロリコンの称号を自分で自分につけてしまう事になるからだ。
「…………ぐはっ……」
次第に痛みは耐えにくいものとなり、ハクリは決心した。
「これは仕方なの無いことで決して下心はない俺は健全俺は健全……」
手を震わせながらリリィの脇腹へ向かわせる。近づく度に手が震え、到達しようとしたその時―
「……何してやがるんですか」
「………いつから起きてた?」
「今です」
「何が見える?」
「私が触られようとしている場面です」
「……よーく見てみろリリィ。お前今どんな体制だ?」
そこでしばし考え込むリリィ。
「私が寝てる事をいい事にこんなシチュエーションを作りやがったですか!?」
「ちげぇよ!どんだけ脳内お花畑なんだお前は!寝ぼけてんのか!?わざとなのか!?」
そうハクリが言ったところでリリィは抱きついていた腕を離す。
痛みから解放されたハクリは座り直す。リリィもハクリと同じように対面にちょこんと座った。
「……」
「……」
無言のまま見つめ合う2人。これだけ言うとラブストーリーみたいに聞こえるが実際そうじゃない。
「…俺はお前が寝ぼけて抱きついてきたからシノアに教えてもらった対処法を使おうとしただけだ」
「そのシノア殿が教えた対処法とやらを教えやがれです」
「…………」
リリィの問いかけに思わず黙り込んでしまうハクリ。怪しそうな顔をするリリィ。
「そ、そんなに人に言えない事を私にしようとしやがったですか!?」
「違う!断じて違うからな!俺は幼児体型に興奮するような性癖は持ってない!多分!」
「よ、幼児……!」
どうやら幼児体型という言葉が心に来たらしい。その場で青い雰囲気を醸し出すリリィ。
「………とにかく。俺はやましい事はしようとしてない!」
「……だったらその対処法とやらを教えてもらおうじゃないか!」
「くっ……」
涙目になっているリリィにそう言われ、ハクリは悔しげな態度をとる。
「……こちょこちょ」
「へ?」
ボソッとハクリがこぼした言葉を、リリィは聞き取れていながらも聞き正した。
「いやだから―」
「へ、変態だ!皆のもの!であえ!であえ!」
「いやまて!だから違うって―」
「どうしたんですかリリィさん!まさかハクリ君が―」
「大丈夫かいリリィ!ハクリ君がいかがわしい事でも―」
「機構隊よ!機構隊を呼んで!」
「ま、マスター……遂にやっちゃいましたね……」
「お前ら……」
もう言い返す事も出来ないハクリ。
このあとめちゃくちゃ問い詰められた。




