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If 〜もしもの話〜リリィとお料理教室その2
「ほれ、こんなもんだ」
目の前に出された黄色い物体を前に、リリィが何を思ったかは分からないが喉を鳴らす。結果的には上手くいった卵焼き。ハクリ流の卵焼きは甘く、砂糖を多く使うのが特徴だ。甘い卵焼きと言われてピンと来ない人もいると思うが、これがまた美味い。
「い、いただきやす……」
何故そんなに嫌そうな顔をする。そして何故意を決した様に口に放り込む……。
そんなリリィをジト目で眺めること数秒……
「うま…美味しい!何なんですかこれは!」
「ふっ…俺特性の卵焼きだ!甘さを微妙に調整する事で卵独自の味も兼ね備えた研究に研究を重ねた一品だ!」
「なるほど…この卵焼きとやらは作りがいがありそうですぜ!」
「ならこの卵焼きを練習するか?」
「やります!ぜってー上手くなってやりますよ!」
何をそんなにやる気になっているのか…果たしてリリィのこのやる気の源が何なのか……まぁ鈍感なハクリには分かるはずがないが、とりあえずリリィがやる気な事だけはハクリに理解出来た。




