沈黙の捜索
ここはどこでしょうか……
胸の内で自身に問いかける。声を発しないのは、猿ぐつわをされ、かつ目を塞がれているからである。状況から察するに捕まってしまったらしい。しかし周りに気配はなく、幸運にも自分一人の空間に位置しているようだ。なんとか解けないかと手を動かそうとするが、案の定ても縛られている。しかも椅子に座らされているお陰で身動きが全く取れないという有様……
…まさか私がこんな事になるとは…
そんな事を頭に浮かべるが、時すでに遅し。捕まってしまったという結果は変えられない。自分の不甲斐なさを悔やんでいる暇はなかった。
どうにかして抜け出すか、それとも助けを呼べないか試みてみるが、声も行動も塞がれた今、アオイには何もなす術はなかった。
それと、気になる事があった
本当に自分は一人なのだろうか……と
果たして捕まえた人質とも取れる自分を、相手側はこんなにも放置するだろうか…。もしもの時のために誰か見張りを配置しておくのが普通だろう。現にこうして逃げようとしているのだから……
それに自分に不意打ちをしてきた敵…あんなに接近しても気配を感じない事があるだろうか……
謎は深まるばかりである。
抜け出す前に、そこから詮索しなければならないと思ったアオイは、無言のままただ考える事を始めた。アオイの無言の詮索が始まった。




