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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
全てが変わる日…変えようと誓った日
223/313

辻褄

「流石にホコリがすごいな」

「それだけ誰も手入れしていないという事ですね。気をつけて進まないと…」

あらかた探し終えたハクリとアオイ。捜査も終盤に差し掛かっていた。内心ここもハズレだと思っていたハクリとアオイに、転機が訪れたのは…言うまでもないーー

「……声が聞こえる」

「…本当ですか?」

どうやらアオイには聞こえていないようだ。魔力の他にも五感まで発達したのだろうか…聞こえないというのが疑わしいくらいはっきり聞こえるその声は、そう遠くない。

「ここから…多分数十メートルくらい…人数は複数だな。3…いや、5だな」

「すごい…そこまで分かるんですか?」

「なんか冴えてるんだよな。怖いくらいに」

「……」

アオイの脳裏を()ぎったのは、シャーマックに掛けられた呪い。それを思い出すたびに、あの時の自分の愚かさを恨みたくなる。

「……アオイさん」

「っ……」

自分の頭に置かれた手。力強く、やさしいその手は、この上なく暖かいものだった。

「俺は大丈夫だから。心配しないで」

「……はい」

こんな目で見られたら、何も言い返すことが出来ない……

ーーずるいーー

そんな事を思いながらも、アオイは俯いていた顔を上げる。

「…とりあえず行ってみよう。戦闘の体制をとって」

「了解」

ハクリはハンドガンを、アオイはそのうちの一丁をライフルに変え、装備する。

そして、ゆっくりと近づいて行った。

足音を立てないように、ゆっくりと…ただゆっくりと進む。未だ声を止まず、会話をしている様だった。

「…まずは俺が見るから」

通路の角からそっと覗き込む。ほのかに灯る明かりの中に、ハクリの予想通り5人の人影が会話らしき事をしていた。

「…あれは」

気掛かりな点は2つ。

・廃墟で何故話しているのか

「……なんでーー」

ハクリが目の当たりにした光景は、絶対に廃墟等では見られないような光景。そっち系統の話しなら多分辻褄が合うのだろうが、この世界にそういった類のものがあるのだろうか……

「子ども……だと…っ」

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