If〜もしもの話〜ミルと地獄の猛特訓その3
「ちょっとちょっとハクリ君…そんなのもできないの?」
「すんませんね非力で……」
あれからというもの、ミルの良いのか悪いのか分からない特訓は続いた。ハクリ自信、身に入っているのかどうかは不明だが、とりあえずミルの特訓を受ける中で、いくつか気づいたことがあった。
まず、ミルの捉えている視野や、全てではないが何となくどんなことを考えているのかも察しがつく。なんの疑いもなく、ミルは戦闘中ずっと笑みを絶やさない。つまり楽しんでいた。そしてもう一つ、ミルは案外胸がーー
「うぉっほん!」
「??どうしたのさ。いきなり咳払いなんてして」
「何でもない。続けてくれ」
自分の邪な考えを振り払い、特訓に集中する。今ミルから習っているのは、自強化系統の魔法のコントロールの仕方だ。昨日、ヒノンに、魔法の何たるかを叩き込まれたお陰で、何とか形にできようとしている所だが、どうもそこから上手くいかない。
「いいかい?自強化…第三聖系魔法なんかの魔法は肉体強化とは別に心のコントロールが必要なんだ。自分が強くなるイメージとともに、それを抑制するイメージをしなくちゃいけない。後者を怠ると、返って自分がダメージを受けることになるから気をつけて」
「強くなる…抑制するイメージ……」
目を閉じ、ミルに言われた通りのイメージをする。どちらのイメージが5:5になるよう、念入りに……
「イメージが出来たら今度はそれを形にする……」
「形に……」
ハクリの体から、金色の粒子が湧き出てくる。それを見たミルは、一瞬表情を明るくしたがーー
「あ」
ミルのその声とともに、ハクリは爆発した




