挑発大会
クロノの能力はどの力よりも強く、そして最弱だ。一見矛盾しているように見えるが、実際にそうなのだから他に言いようがない。そしてガリアの能力はと言うと……敵を確実に殺すためにあるようなものである。そんな2人が手を交えた時、もう何度目になるだろうか…必ずこうなる
「てめぇいつまで逃げてんだ!ちゃんと戦え!」
「ふん……これが俺の戦い方だ。他の誰がなんと言おうとこれは譲らん」
お互いがお互いの能力を認めているが故に、ガリアの攻撃をクロノが避けるという一方通行な戦いが、2人の日常茶飯事である。クロノはガリアの能力が発動しないように、ガリアはクロノに攻撃しようとしても能力によって避けられてしまうといった有様だ。恐ろしい程に鋭利な長刀は、クロノ目掛けて振り落とされる……が、しかしそれを避けるクロノはまるでーー
「相変わらずだな…その力。デメリットが無けりゃ最強だろうによ」
ニッと笑みを浮かべるガリアに対して、クロノは不服そうな顔をする。
「どんな力にも必ず完璧という言葉は存在しない。俺はそんな言葉を象徴した力を持ったに過ぎない」
「そんなこと言って自分の悔やみを言い換えてんじゃねえぞ綺麗事大好きっ子君」
「なんだと?」
ガリアの挑発にクロノが反応する。そして、明らかに苛立ちを覚えていた。
「そんな力だけなら俺でも勝てるぞ?まぁそんな風にお前がいつまでも芋ってたら、ただの腰抜け君かなぁ?綺麗事大好きっ子君よお」
「ものは考えて言うべきだ。脳がないことばかり言っていると、お前のそのバカ筋肉が耐えきれずに泣くぞ?クソ筋脳筋男」
「んだとゴルァ!」
ここまであからさまに挑発に乗るやつがいるだろうか……そんなことを思いながら、お互いは苛立ちを覚えながら、第2Rへと入っていった




