分かれ道
「なんで……どうしてよ!隊長いなくなるかもしれないのに!なんで!」
怒りが混ざったような声質でツバメが問いかける。しかし、ユアには届いていないようです、ユアは表情を曇らせたまま俯いてしまった。
「…ユア」
「ツバメちゃん落ち着いて下さい。ユアさんにだって何か考えがーー」
「ないよ。これは私の意思でもあるし、私は隊長とは一緒に行きたくない……それだけだから」
「っ……」
あまりの衝撃に、ツバメは目を見開いた。ユアがここまでの事を言うとは思ってもいなかったからだ。そして、彼女は心のどこかに同時に殺意をわかせた。
「落ち着けツバメ。これはユアの判断だ…何も言うな」
「でも!」
「隊長の言う通りです。少しは落ち着きなさいツバメさん」
「っ………」
ハクリとアオイが口を挟んだことにより、ツバメの殺意はユアに対する呆れへと変異した。信頼していた仲間に対して抱く呆れは、どこか重みを感じる。
「……じゃあ私は行くから」
「ユア」
こちらに背を向け、立ち去ろうとするユアをハクリが呼び止める。全く感情のこもっていないような目で、ハクリを見つめるユア。それを目の当たりにしても、ハクリはこう告げた。
「これで終わりじゃないんだよな?」
ハクリの問いかけの芯までは理解出来なかったが、ユアは「分からない」とだけ告げて、後を去って行った。
ユアが抜けたことにより、チーム内の空気は最悪になった。しかし、任務は任務であり、どんな理由があろうと遂行する…俺たちのやり方で……
「それじゃあ…向かおうか」
思い足取りで、ハクリを含める4人は街に駆り出した




