If 〜もしもの話〜イヨと誰かの新婚生活その6
「うーん……イヨはいつの間に眠ってしまったのですか?全く覚えてないです」
隣にいるイヨが、目を擦りながらそうつぶやく。
「まぁいいだろ。何もかも無事に終わったんだし」
そして俺はそんなイヨに気まずさを覚えながら答える。
遡ること十数分前……
俺が安易に近づこうとした瞬間、男はニヤッと気持ちの悪い笑みを浮かべた。
「引っかかったな間抜けがァ!お前は俺の術中にハマったァ!」
「なっ……!」
不意に自分の足元が光を帯びる。色から察するに、罠系統の初級魔法だろう。しかし侮ってはいけない。罠系統の魔法は、発動条件が複雑な分、ハマれば初級魔法と言えど威力は侮れない。
そしてこの魔法は察するに……
「……」
発動後の静けさ……。既に男の前に俺の姿はなく、残っているのはイヨと男自身のふたりだ。
「は……はは……」
徐々に笑みを浮かべ、ニヤけたその顔はさらに不気味さを増していく。
「はははははは!ざまぁ見やがれ!安易に近づくからそうなるんだマヌケがァ!これでお前はもう消えた!第七炎系魔法によってなぁ!」
「…………」
そして高笑いをしだした……あたかも自分が勝利したように…余裕綽綽。
「ふぅん…てめぇの中で俺は死んだわけだ」
「っ!?」
驚きの表情を浮かべる男。それもそのはずである。自分が殺したであろう人物の声が響き渡り、そして……
「なら…俺がここにいちゃおかしいよな?」
目の前にたっているのだから……
「な、なんで生……どうしてきてんだよ!確かに魔法はーー」
「あー……お前さ、まともに学校いってねぇだろ?全然機能してなかったぜ?あの魔法もどき」
痛いところを突かれたと言わんばかりの顔をする。それを見た俺は呆れ果てて次の言葉を放つのをやめた。
「……ま、待ってくれ!は、話をーー」
「武装技術。自動追尾弾」
「うげっ!」
俺の指から放った弾丸はまっすぐに男の眉間に命中する。もっとも、ゴム弾だから死ぬ事は無い……。
イヨをかかえ、ぴくぴくと体を震わせる男に、俺は最後に捨て台詞を吐いた。
「元AIPをなめんなよ?」




