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雨
「……」
誰もが話さない。ヘリから降りたところで自分達の空は全く同じで、それでも自分達の思いはそれぞれ違うものだった。
自分達の隊長が組織を抜ける。言葉の意味は分かっても、真の意味はお互い理解出来ていない。任務開始まであと数時間。それまで各自考える時間が与えられた。
「…隊長」
無意識にそう呟いたのはユアだった。自身の秘めた思いは誰も気がついていない。自分でさえ……
「……うぅ」
無意識に涙が浮かんでくる。この衝動に可憐な少女達は思い思いに悩んでいた。
雨が降りそうだ……




