嘘はつかない
もう二度目になる移動用のヘリは、今の心情的には別段きつくはない。貼り詰められた緊張が高鳴る空気の中で、ハクリ率いる情報班は皆外の光景をぼうっと眺めていた。
「……」
そんな中、もじもじと気まずそうにしているユアとツバメは耳打ちをする。
「何でこんな事になっちゃったのかな……」
「分からない。でも総司令官が言ったんだもん。きっと何かあるんだよ」
「それって隊長の事なのかな?」
「そうだと思う…それでなくてもそう信じていたい」
今から三日前、無事に任務を終えた情報班は、ハクリに異常があったが本部へと帰還した。リランとハクリはその後すぐに面会し、極秘的に会話を交わしていた。そしてその後である。三日後の司令が下ったのは……
『情報班に告ぐ。特攻班、援護支援班と協力し、次なる対象を発見、即時殲滅せよ』
「…」
「……はぁ」
気まずさはみんな感じているようだった。ハクリがこんな事になりながらも、なんの対策も浮かばない。そんなやるせない思いが、今のこの空気を作り出している。
「みんな聞いてほしい」
その空気を壊すようにハクリが話を切り込む。全員がハクリに目線を移し、隊長による話が始まった。
「俺のこの目の事は一時置いておこう。任務は任務だ。それに集中して欲しい」
「……私達がそう出来るとお思いですか?」
「そうです…やっぱり気になります」
「……私も。少し厳しいかな…」
「……」
「皆の気持ちは十分に分かる…でもーー」
そこで深く深呼吸をするハクリ。緊張の意図は途切れるはずがない……少なくともそう思っていたーー
「俺はこの通り今の所は何ともない。だからみんな心配することは無いさ。リランも極秘だが応急処置的なものを用意してくれているからな」
「……それは本当ですか?」
アオイの不信な目がハクリをつつく。しかし、ハクリの顔は動じなかった。
「あぁ……隊長は嘘をつかない」




