抵抗
「……と、いう訳だ。俺に残された時間はそう長くないらしい」
呆然とした顔でただハクリを見つめるユア、ツバメ、ツバキの3人。その瞳には、絶望の他に何か他のものが混じっているようだった。
「…どうすれば助かるの?」
「分からない。スライクとかいう奴は時が来れば分かるってーー」
「そんなのじゃダメだよ!早くそいつらの元に行かないと!」
誰よりも焦っているのはツバメだ。泣きそうな目を何とか堪えている。
「だめだ。敵の本拠地に向かうことなんて自殺行為だからな」
「でもそれじゃあ隊長がーー」
「ツバメさん。少し落ち着きなさい」
その中でも一段と冷静で、かつ冷淡さを秘めたアオイが口を挟む。押さえ込んだ感情が漏れ、青いオーラを放っている。
「私達の隊長がこう言っているのです。私達は、私達のするべきことは隊長の言葉ですよ」
「だって……それじゃあ…」
「な、何とかして抑えることくらいは出来ないのですか?」
「分からん。こればっかりはこいつを掛けた本人に聞かないとな」
そう言って、左目に記された呪式を指で抑える。眼球の中心にまで刻まれた刻印は、今となってはあまり目立たない。しかし、その印は見えていた。それを強調するように……。
ハクリは溢れ出す言葉を押さえ込み、ただこう告げた。
「とりあえず……帰ろう」




