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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
全てが変わる日…変えようと誓った日
184/313

刻印

「遅い……」

「くっ…なかなかやるな」

素手と大剣による、それでいてアオイは相当の速さで一戦を交えている。それにハクリが混ざり、2対1の攻防はやはりハクリ側が優勢だった……しかし、それも僅かに、それでも僅かな優勢だった。肉弾戦に特化した竜人族(グランドル)だが、スライクはふつうの竜人族(グランドル)なら使えないものが殆どの中級魔法を会得している。それにより、近距離&遠距離のコンビネーションが二人には厄介だった。魔法を使われれば、アオイが教えた捌きはもはや通用しない。火の弾丸や氷の刃は、素手では避けきれないのが常識だ。

でも、ハクリには周りの機巧族(ギラグティ)とは違い、訓練すれば魔法はいくらでも使える。僅か、少ししか使えないアオイやユアとは違うのだ。よって、肉体強化されたハクリなら、スライクの魔法にも少しは対抗できた。

「スイッチ!」

「……っ!」

ハクリを跳び箱のように飛び越えての連携攻撃、アオイの大きく鋭い一撃がスライクに加えられる。

「っぐ!」

腹部にもろに食らったスライクは、地に膝をつけ、痛みに堪える。それを見たアオイとハクリは確信的に勝利を自覚した。

「…そろそろ終わりにしましょう。隊長、ここからは私がやります」

手に持っていた大剣でもあり、その中の刀身の柄でもあるそれを地面に突き刺し、術を解く。

「隊長の銃を少し貸していただけませんか?」

「これか?まぁいいけど…」

イマイチアオイの考えが読めないハクリは、腰に携えているハンドガンをアオイに投げ渡す。それを手に取ったアオイはまじまじとそれを眺めた後、自身の武装技術(ウェポンスキル)を再発動する。

「……まじかよ。銃も出来るのか」

戦乙女(ヴァルキリー)の力はどんな武器でも自分専用にする能力故…少しお借りします」

アオイの発動した魔法陣をくぐり抜けたハンドガンは、その原型を全く留めず、スナイパーライフルへと姿を変えた。スコープに目を当て、スライクへと標準を合わせる。

「最後に思い残すことはありますか?あなたの仲間に特別に伝えてあげます」

「………」

無表情のままアオイを睨みつけるスライク。思い残す言葉は語られなかった。

「……それでは、あなたの運命の残酷さに…非情なさいーー」

「詰みだなーー」

「え?」

ガラスが割れるような音とともに、ハクリの頭部が後ろに押しやられる。首から足先へ続き、地面へと打ち付けられる。

……左目には、赤い魔方陣が印されていた。

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