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スライクとハクリ
「さて、一見する限りあの時とは格段に強くなったと見える…その強さの裏にはどんな鍛錬を積んだのだ?」
「それはもうきつーい訓練をしたさ。多分常人なら死んでる」
「ほう…それは興味深いな…俺にも教えて欲しいものだ」
「ぬかせよ。誰が教えてやるかよ。こっちから願い下げだっつーの」
「そういう態度をとるようになったのも、一つの成長といった所か。前回とは精神的にもたくましくなっている」
余程ハクリの事が気になるのか、スライクは興味深そうに質問してくる。勿論そんなものに答えるわけのないハクリは、茶化して返すのだが、それすらも気に止めることはなく、スライクの興味は続いていく。
「まぁいい…貴様と手を合わせていればいずれ分かる事だろう」
戦闘態勢に入ったスライクを前に、ハクリの心情は緊張で染まっていく。下手をすれば殺されるかもしれないこの自体で、自分は目視で分かるほど各違いな相手を敵にしている。
「…神さま仏さま…どうかスライクとか言うのがミスりますように」
皮肉混じりにそんな言葉を放ち、ハクリは一気に駆け抜けていった。




