戦闘の場
「させない……絶対にさせない!」
弓を構えたユアがそう答える。放たれた弓矢は魔弾を弾き返し、そのままシャーマックの元へと伸びていく……がーー
「おーっとっとっと…流石にスライク君!いざという時には僕をーー」
「ここで死んでは任務が遂行」出来ないだろう。少しは恥を知れ」
相変わらず冷たい態度をとるスライクの言葉に、シャーマックは気にする様子もなく二タニタと笑い続ける。
「さてさて?そこのお嬢ちゃんは僕の攻撃を妨害したわけだけど?やるの?」
「隊長は絶対に守る…触れさせやしない!」
「まてユア!ここは様子を見るんだ…下手に手を出したらやられる」
「隊長はあの人たちを知っているんだろうけど、私は知らない…隊長に危害を加えるんだったら…私が守る」
「…………」
ユアの力強い言葉に、ハクリは息を飲んだ。少しでも諦めかけた自分を恥じた。そして…抗おうと思った。
「…俺はお前達の言いなりになるつもりはない。これ以上仲間が居なくなるのはゴメンだからな…みんなの分、償いは受けてもらうぞ」
「やり合おうというのか…人が変わったような変化ぶりだが…その抵抗と勇気だけは褒めてやろう……だがな、この世界には力の差というものが絶対にある。それを目視だけで判断出来ないとなると、まだ貴様も半人前だということだ」
「てめぇの自己判断で人を決めつけるなよ。やって見なきゃわからないだろう」
「っぷぷ!あっはははは!何言ってんのこの人!本気で僕達に適うと思ってんの!?」
腹部を抑えて笑いこけるシャーマック。歯ぎしりを立てたハクリの後方から飛び出す一つの影…。
「第一矢目…放てっ!」
不意打ちとまではいかないが、ユアの放った弓矢が油断しきったシャーマックへと伸びる。
「っとと……危ない危ないねぇ…」
完全にそれをかわし、余裕満々の笑みを再度見せつけるシャーマック。
「丁度いい。お前はその女をやれ。あいつは俺が黙らせる」
「きょえー…スライク君はいいところだけ取るんだよねぇ…まぁいいけど。僕も防がれたの気に食わなかったし」
「……ごめんユア。巻き込んで」
「さっきの言葉、撤回して」
「え?」
「皆の敵みたいないい方したでしょ?まだ誰も死んでなんかいない。絶対に生きてるんだから」
ユアはまだ諦めていなかった。自分が窮地に追いやられても、弱みひとつ見せようとしない。そんな姿に、ハクリは心打たれた。
「……あぁ。そうだな!皆は生きてる…それまで、俺達が耐えるんだ!」
「うん!見せてあげる…私の力…っ!」
瞳を閉じ、意識を集中させる。この人の前では見せたくなかったこの力…。見せたらきっと嫌われるから……そう思っていた。でも、この人は…この人にならーー
「私がやるんだ…私がーー」
目を開くと同時に、その力が開放される…。ユアが持つユアだけの力ーー
「武装技術。臨終!」
メンテナンスの都合により、本日は19時投稿となりました!
申し訳ありません!




