手入れ時
「はっはーん?さては怯えてるねぇ君!わかる…分かるよ!手を合わせなくても伝わる僕達の威圧感に怯えてるんだよねぇ!?あぁ辛い!僕の存在が辛い!」
「うるさい黙れ。あまり挑発を重ねるな」
「御託はいいから要件を言え。他のみんなを探す必要があるからな」
出来るだけ落ち着いた態度を見せつけ、こちらの安静さを知らしめる。ここで慌てれば相手のペースに巻き込まれる。今はユアしかいない。自分が正常を保たなければならない。
「こちらの要件は変わらない。他でもないお前だ」
「お前達は同性愛者か何かか?そんなに俺が欲しいのか?」
「あらあらー?無理に冷静さを強調しなくてもいいんだよぉ?それに演技下手すぎーぷぷっ」
シャーマックのおちょくりは相変わらず腹が立つ。しかし、辛抱だ……。ここで変に抗ってはならない
「どう思おうがそれはお前の勝手だ。しかし今日は先日のように優しくはない。少し手入れする必要があるからな」
「大人しくしてないと身のためだよぉ?僕もそんなに手先が器用じゃあないかぁらねっ☆」
「……何をするつもりだ」
「まぁまぁそれはこれから分かるからさ!すこぉしじっとしててね?」
そう言うと、人差し指をハクリの元へと向けるシャーマック。その隣でスライクはその光景を冷ややかに見つめていた。魔法陣が形成され、シャーマックが詠唱を行う。
「さてさてさてさて!整いました!早速打っちゃうよー!」
「早く終わらせろ。帰還時間が迫ってきている」
「ぶーっ!スライク君は相変わらずだあねぇ!いいもんいいもんっ!僕は打っちゃうからいいもんっ!」
その言葉を最後に、シャーマックはニヤニヤと不敵な笑みを浮かべて、魔法陣から弾丸を撃ちはなった……
「くそっ…体が動かない……」
「隊長っ!」
意識はハッキリしているのに、体が言うことを聞かない……このままユアだけでもと、もはや半ば自分のことは諦めていた。
そして………その弾丸が、ある一閃により阻止される。




