表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
全てが変わる日…変えようと誓った日
175/313

再発

「任務ご苦労様。まさか本当にやっちゃうなんてね。少し甘く見ていたよ」

「それでも俺達はやったんだ。これでイヨはもう狙われないんだよな?」

「あぁもちろん。約束は守るさ。本当にご苦労さま」

リランの言葉を最後に、ハクリは司令室を後にする。イヨの告白を受けたのは昨晩の事。ハクリ率いる情報班は即座に帰還した。あまり心残りにならぬよう、細心の注意を払って。

ハクリ達にはまた暇な時間が訪れ、任務発令までは各自の自由時間となる。ハクリにとっては訓練に当てる時間だが、周りはどう過ごすのだろうか……。

「それじゃあお願いします。アオイさん」

「了解しました。今日は久しぶりに対人戦と行きましょう。前の作戦時には、一度死にかけたらしいですし」

「それを言われるとキツいんだよなぁ…なんで生きてるのかさえ不明なのに」

「文句があるなら拳でお願いします…」

「アオイさんは相変わらずだよな…」

そうしてまたいつもの日常が始まる…。ここの生活……ハクリの普通のーー

ーーあれ?ーー

ふとハクリの動きが止まる。不審に思ったアオイも、攻撃の手を止め、ハクリの様子を見る。

「どうかしましたか?隊長」

「俺は…俺の日常はこれか?俺はここの人間で、ここで前から暮らしていた?本当にそうか?俺は……俺はーー」

自分でも分からない衝動に、震えが止まらない。何か思い出さなければいけない事があるのに、それが思い出せないのだ。やるせないこの苛立ちは……なに?

「俺は……誰だ?」

「隊長っ!」

ユアの怒鳴り声で目が覚めた。多分ここは機内で、ハクリは基地に向けて帰還している最中だったはず……。

「今のは……夢?」

「隊長!皆が…皆がっ!」

ユアの叫び声はまだ続いている。どうやら、ただ起こされただけではないようだ。体を起こすと、何故か身体中に激痛が走る。

「痛ぅ……っ!」

「大丈夫隊長?」

「あ、あぁ……でも、なんで」

「襲撃だよ。私達が乗っていたヘリが襲われたんだよ…」

理解が追いつかない頭を無理やり覚醒させ、辺りを見回すハクリ。煙が立ち込み、確かにヘリコプターらしき残骸が見える。

「…他のみんなは?」

「分からない…私が見つけたのは隊長だけで…」

このユアの表情。本当にまずい合図だ。痛みを我慢しながら立ち上がり、辺りの捜索を始める。左腕が動かない……多分折れている。

「ツバメ!ツバキ!アオイさん!」

「皆!どこなの!」

いくら叫んでも、呼びかけても返答はない。いよいよまずくなってきた所で、望んでいない声が聞こえる。

「誰かお探しで?ヒヒッ」

ハクリがこの声を耳に通したと同時に目を見開く。この聞き覚えのある声は、確かに前にあった事のある男の声だ…もっと言えば、こいつが居るということはもう1人ーー

「あまりはやし立てるな。うるさいのは嫌いだと何度も言っているだろう」

竜人族スライク。妖精族シャーマック。以前ハクリがヤヨイ達とオブティーンへ向かっていた際に遭遇したテロ組織『旧聖会』の一員である。

「お前達…旧聖会の……」

「おやおや君はあの時の!ふぇえ偶然だァねぇねぇねぇ!」

「それを知っていて狙っただろう。あまり苛立たせるな」

「た、隊長…この人達は……」

怯えたユアはハクリの背中に身を隠す。警戒心を最大まで引き出し、ただ目の前の脅威を睨みつける。恐怖心を押さえつけ、ただ一方的に……

「今度は何なんだ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ