阻止
「てめぇ先日の……一体どこから」
「いやいや、一体も何もずっと知ってたから…てか予想してた。お前達がまたやらかす事をな」
そう言ってハクリはとあるメモリーをチラつかせる。もちろんそれの存在を知らない彼らにとって、それがいかに情報が詰まったものかということは予想は出来ない。
「イヨの件に関して…全部お前達がやったって事は調査済みだ。あまり情報藩を舐めるなよ?」
「情報班?何を言ってるのかは知らねぇが、これは俺達の仕事だ。邪魔されると、お前が痛い目を見るぞ?」
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら、男達3人はハクリの方を向き直る。手に持った武器が、敵意と攻撃態勢を示していた。
「イヨとか言ったな……あいつは大いに俺たちの役に立っている。あいつの姉だかしらねぇがちょっと脅せば金銭やら食料やらを俺達にくれるからな。だから、この前の件に関してはーー」
「あーそういうのいいから。うん。全部知ってるし」
わざとらしくあしらうハクリに、男達の苛立ちは高まる。今にも殺しにかかってきそうな勢いだ。
「さっきから冥土のみあげにと教えてやってんのに、その態度はねぇんじゃねぇの?そんなに死にてぇか?」
「え、俺死ぬの?まじか……」
そうやってとぼけるハクリに、男達の手は思いを抑えきれなくなった。三人同時に、ハクリの元へと襲いかかる。
「確信がねぇのかバカが!テメェがいるせいでこっちも上がったりなんだよ!死ねっ!」
ナイフの使い手2人、残る1人は日本刀だ。それにより、ハクリがとるべき行動を解析し、行動に移す。
アオイから教わった体術は無駄ではない。今こうして、ハクリは強くなっている。まだまだ実践向きではないけれど、こうして人を守る事が出来る…そんな自分に少し心踊らせた。
「…………」
「や、やめ…やめてくれ……」
「てめぇらの勝手な判断で、事情で、感情で、行動で…人の人生をめちゃくちゃにするんじゃねぇ。今度イヨやフィーレ…いや、誰にでもそんな事をしてみろ……」
先程まで話していた男は、ガタガタと肩を震わせる。自身の首に先程まで自分が持っていたナイフを突きつけられ、ただ怯えることしか出来ない。そんな最中、ハクリが耳元に顔を近づける。
「……てめぇら全員ぶっ殺すからな」
「……あぁ…」
泡を吹いて倒れた男を見下ろし、ハクリはため息をこぼす。
「…ちょっとやりすぎたかな」
自身の頬を掻きながら、少し後悔した瞬間だった。




