学園に来たものの……
「……本当に連れてくるとはな……ミャン・リヴァン」
「は、はい……」
学園に着いてまず向かった先はヤヨイが居る職員室。ハクリは外で待たされ、中にいるのはミャンとヤヨイのみ。
「君は何故学園に来なくなったんだい?」
「興味が無いから?」
自分でも分かってないらしい。ミャンのこの手の回答にヤヨイは頭を抱えながらため息をこぼす。
「はぁ…………君はそうやって段々と授業に出なくなったな………こう見えて心配してたんだぞ」
「……いやぁあははは」
これにはミャンも苦笑いで返すしかない。
「……君の部屋はクラスの皆が交代で掃除してくれてる……後で礼を言っておくように……」
「う、うん……分かった……」
「ふぅ……行ってよし……」
「散々だったな……」
「うーん……ヤヨイちゃんってあんなだったっけなー」
ヤヨイとの話が終わり、ミャンは少し疲れたようだった。時刻は立派に夜である。年頃の女の子には少々きつい事だろう。
「とりあえず今日は休めよ。俺も寮に戻るからさ」
「ハクリの寮もあるの?」
「おう……まぁな」
「………………」
「な、なんだよ……」
ハクリの顔を訝しめに見るミャン。
「……ハクリ何か隠してない?」
ギクッと身を震わせるハクリ。
実を言うと何かあったのだ……。まぁそれは後々話す事として……。
「な、何でもないぞ……」
ハクリがそう答えると、ミャンは「そう…」と言って振り返る。どうやら自室に向かうようだ。
「私疲れちゃったから寝るね。おやすみハクリ」
「おう……おやすみ」
ハクリに背を向けて自室に向かうミャンが見えなくなるまでハクリは手を振り続けた。
「……危なかった……」
果たしてハクリに何があったのか。それはこれから告げられるものである。
 




