ツバメとツバキとイヨ
「と、いう訳で…ツバメとツバキに頼みたいんだが……いいかな?」
「隊長の頼みとあっては、このツバメも乗らないわけにはいかないわよね!」
「お友達…ですか?」
次の日、ハクリはイヨをツバメとツバキに会わせた。歳も近いし、色々共感するところがあると思ったからだ。
それで、根本的に会わせようと思った理由だが、特にない。今のイヨはあともう少しのところまで来ている。あと少し他人と接していれば、反社会的な思想も改善されると思った……というのが適当かも知れない。
「えっと……お兄さん?イヨをどうするつもりですか?」
「イヨにはこのツバメとツバキと遊んでもらいたいと思ってさ……だめかな?」
「いえ…ダメと言うよりかイヨはフィーレちゃん以外の人と遊んだ事がありませんから……少し不安なだけです」
「そっか……でも、ツバメとツバキはいい子達だからさ、そこは安心してくれて大丈夫だ」
「お兄さんの言う事です。お嫁さんは、お婿さんの事を信じるものなんですよ♪」
「……お嫁さん?」
「……お婿さん?」
イヨの発言に、ツバメとツバキはピクリと肩を動かした。その反応を目の当たりにしたハクリは焦りを顔に浮かべる。
「隊長?どういう事?」
「い、いや待て待て!これはイヨが勝手にーー」
「た、隊長さん……ちゃんと説明してください!」
「だからイヨがーー」
「イヨとお兄さんは婚約したんです」
雷が落ちた……気がした。ツバメとツバキの反応からそんな錯覚に見舞われたのだ。衝撃の事実とでも言わんばかりに、ツバメは顔を強ばらせ、ツバキに関しては泣きそうである。
「おい!落ち着け!これはイヨの冗談で、別に俺はーー」
「そんな……イヨと過ごしたあの夜は嘘だったんですか?」
「「夜っ!?」」
「イヨ!さっきから変な冗談は言わないでくれ!ってか最後まで言葉をーー」
「私は冗談なんて言ってませんよ?」
ケロッとした顔でそんなことを堂々と言うイヨを前に、ハクリは言葉を返す事が出来ない。あながち間違っていない事が恨めしい。ご飯作ったり、食べたり、風呂入ったりと、確かに何かあったかも知れないからだ。
「……隊長。後できっちり話してもらうからね……」
そう言ってハクリの元を去って行くツバメ。
「お、おい待てよ!少しは話しをーー」
「隊長さん…私、怒ってますから」
そしてツバキも続いていく。
「ツバキ!?ちょっとーー」
「(´∀`*)テヘッ」
「だから話を最後まで聞けって!!!」
いつかこんな事があった気がする……そう思ったハクリだった。




