If 〜もしもの話〜ヒノンとお勉強しましょう 2
「魔力の調整は意識の中で……脳内容量も考えながら……」
「む、難しいな…。本当にこんな事考えなきゃ出来ないのか?」
「最初の頃は……慣れたら…考えなくても勘で……分かる」
手に取った1冊の本を、女の子と一緒に読む。何故だか知らないが、知らず知らずのうちにいい展開になってきたではないか……!
「勘…か…俺が一番苦手なやつだな」
「簡単……これくらいは……上級魔法になると……もっと……もっと難しいから」
「まじかよ……」
放課後という事もあり、生徒もチラホラ居るのだが、ハクリとヒノンの周りには見えない。これだけ広い図書館だ……当然かな
「実践してみないと……分からない事もある……それは…シノアに……頼んで?」
「助かったよ。急に呼ばれた時は何事かと思ったけど。どうして急に?」
「…………」
突然の無言。その理由が分からないハクリは唐突な出来事に戸惑いを覚えた。
「……ヒノン?」
「……から」
「へ?」
「…あの事……他の人には……言われ…たくない……口封じ」
あの事?口封じ?
ますます訳が分からないヒノンの言い分に、ハクリは頭を柔らかくしてみたが、どうも思いつかない。
「……なんの事?」
非常に聞にくい事なのだが、問いかけない限りヒノンの言っている事が理解できない。そのため、気は乗らないが問いただしてみた。
「……!」
案の定そんなハクリに驚いたヒノンだったが、どっちかっていうと呆れの方が目立っているようだった。
「覚えて……ないの?」
「全く……何かあったっけ?」
わなわなと体を震わせていくヒノンを前に、ハクリは多少ながら焦りを覚えた。何となくわかる。今のヒノンは怒っている。
「…………」
黙り込んだヒノンを前に、ハクリは本当よ本当に焦りを覚えた。




