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戦乙女(ヴァルキリー)
「さて…ここで質問ですが、あなたは痛い目が見たいのですね?」
「……」
言葉が出ない。目の前に立つ一人の存在に対して、ヴェイダーとヴェルフはただ呆然と立ち尽くしていた。己らが招いた事象に、今更後悔しても、時すでに遅しである。
「答えなし…肯定と判断します」
アオイの言葉と同時に、手に持っていた短剣が淡い光を放ち始める。次第に効力を増していく短剣は、その姿形を変えていき……
「嘘だろ……俺の短剣がーー」
ツバキの持つ大剣よりもさらに大きい大剣へと姿を変えた。
「それがお前の…戦乙女の力か……」
「手に持った武器を自分の扱いやすい形に変える…というわけです」
「……や、やべぇなおい」
「ご安心を…同じ立場故、殺しは致しません。ここから立ち退いていただくだけです」
「へっ……やってみろ。俺には自身の技術がある。倒せると思うんじゃねぇ」
「……それは…ふらぐ?というやつですね」
数秒間閉じられた瞳……それが開く頃には、ヴェイダーの視界から、アオイは瞬く間に消えていたーー




