学園へ
「お、おいミャン!どこ行くんだよ!」
「どこって学園だよ?」
リヴァン邸を飛び出してミャンとハクリは手を繋いだまま歩いていた。ミャンに引っ張られながら付いて行くハクリには何が何だか整理が追いつかない。
「学園ってお前道具とかはどうすんだよ……」
「後でパパに持ってきてもらうつもりだよ?」
まじか……あんな事言っておいて父親を頼れるとは……娘の特権のようなものだろうか……。
「……さっきはごめんね。あのままだとパパ本当にハクリに―」
「分かってる。分かってるからそれ以上は言わないでくれ」
それ以上を聞くとハクリはオルドに会うことが出来なくなるだろう。そう確信した。
「……まぁなんだ。変な形になったけど学園に行くことにしてくれたんだ……それでチャラ……良いだろ?」
ハクリがそう提案すると、ミャンは満面の笑みで「うん!」と頷いた。
時刻は夕時。日が沈み始め、空は橙色に染め上がっている。
「……それにしても……ミャンは興味無いことはしないんだろ?」
未だハクリの手を引きながら上機嫌で学園に向かうミャンは機嫌良さげに「うん!」と答える。
「じゃあ何で―」
再度問いかけようとしたハクリ。
ミャンはグイッとハクリの腕を引っ張る。バランスを崩しそうになり、前のめりになったハクリの耳元に口を近づけ……
「ハクリが気になるからだよ♪」
「っ~~~!?」
顔を真っ赤にしながら、耳を押さえ後ずさりをするハクリ。
ミャンは照れたような満足そうな顔をしている。
「な、なななな何を!?」
「えへへ〜♪」
挙動不審でもはや何が何だか分からないハクリをミャンは満面の笑みだけで対応していた。
 




