表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
全てが変わる日…変えようと誓った日
158/313

謎の刺客…しのぎ

「一矢目…放て!」

ユアが放った矢が、真っ直ぐに延びていく。その速さを意に返さず、ツバメとツバキは矢と同速でローブの者へと接近する。長刀を構え、戦闘態勢をとった人物はまず第一にユアの矢を跳躍によりかわす。ツバメとツバキがそれに合わせて連携攻撃を加える事は、容易に推測できた。

「第一撃目!いっけぇ!」

「え、援護します……!」

鉤爪による攻撃に加え、ツバキの大剣でツバメの小柄を押しやる。加速による威力増加を図った連携攻撃だ。

「相手は跳躍をしている。これなら…」

「あったれぇぇぇぇえ!」

「いと…浅はかなり」

不況な金属音が鳴り響く。あと数センチの所で相手を串刺しに出来たところを、長刀によりそれを隔たれる。

届かなかった鉤爪の刃。しかし、ツバメは勝ち誇ったように笑みを浮かべた。

「へっへーん。ツバメたちの方が1枚上だもんね」

「……?……!?」

一瞬の戸惑い、その瞬間に突き刺さるユアの放った弓矢。重力により、ツバメとその相手は地に打ち付けられる。

「ツバメちゃん!」

「大丈夫…とりあえず距離開けるから」

ツバキの力を借りながら、血を流し傷を抑える人物から距離をとる。

「あたった…当たった!」

「でも、隊長から距離を離さないと…これじゃあ隊長が」

「で、でも……あれじゃ近づけません」

「……なら、私が何とかしてみる」

「ユアさんが…ですか?」

「私が致命傷を与える……殺さない程度に。そうすれば動けないだろうから、その隙にお願い」

無言で告げられた了解の頷き。ユアはその場で次の弓を引く。

武装技術(ウェポンスキル)臨終(ハデス)

嫌いな自分の武装技術(ウェポンスキル)。死を具現化したようなおぞましいスキルを使う。これ以上の皮肉はない。でもーー

「隊長は…隊長は私が助ける……っ!」

放たれた矢は予定通り対象へと突き刺さり……

「あれ?」

「ちょっと!思いっきり外れてるじゃん!」

「……本気でやって下さい」

「ご、ごめん!何かその……ごめん」

「……浅はか」

ここに来て裏目に出たユア。そしてその時になってローブの人物が起き上がり、その場で逃走。全てが上手くいったとは言えないが、今はとりあえず窮地をしのいだ。

「……なんだかよく分からないけど、とりあえず隊長!」

「大丈夫!?死んでない!?死んじゃってる!?」

「お、落ち着いてツバメちゃん!大丈夫、大丈夫ですよ…」

思ったより出血は多くない。それどころか傷口が塞がりつつある……。明らかにおかしい。

「おかしい…確か血は出てたし貫通もしてた…。なのにもう傷が塞がってる……なんで」

「でも隊長は無事なんだよね?大丈夫なんだよね?」

目尻に涙を浮かべながらハクリに縋り付くツバメとツバキ、手を握って涙を伝わせるユアは、内心に秘めた思いを胸にしまう。

「良かった…本当に良かった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ