戦闘開始
「隊長はこれを見越して私を寄越したのでしょうか……」
「なんだやるのか?俺達を前にして?1人で?元特攻部隊幹部は頭が悪いのか?」
「止めておけ、ここは俺がやる。そいつはまだ殺すな」
大男がそう言うと、小柄な男は抜刀した刀身を収め、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながらアオイを見る。
「見学させていただきますよ。元特攻部隊幹部さん…へへっ。これは見物だなぁ」
「俺達の肩書きを知っているという事は、本名も知っているんだな?」
「暴絶の双者…怪力のヴェイダー……覚悟……っ!」
素手のまま一気にヴェイダーの元へと駆け抜けるアオイ。自信満々とでも言いたげな笑みを浮かべながら、ヴェイダーは独自の構えをとる。
「1度昔の特攻部隊の隊員と戦ってみたかった!あまり後悔させるなよっ!」
自分の懐にアオイが入り込んだことを確認し、丸太のような右腕をアオイ向けて伸ばすヴェイダー。しかし、アオイはそれをしゃがんでかわし、肘めがけて膝蹴りを入れる。
曲がらない方向に力が加わり、不快な音とともにヴェイダーの右腕は歪な形へと早変わりした。
「まだ、終わりません…」
膝蹴りをかました足をそのまま伸ばし、顔面めがけて一撃をさらに加える。無理やり加えた追い打ちのため、威力はそこまでだが、確かにこの巨体の体重は後ろへと向かっている。この隙にアオイは次の攻撃に移る。
「そう慌てるな。まだ時間はある」
「……」
確かに体重は後ろに向かった。それにともない、バランスを崩した巨体は倒れようとしていた。しかし、目の前にはしっかりと地を踏みしめるヴェイダーの姿がアオイの目には映っていた。それどころか……。
「あなた…まさか」
「武装技術。瞬回復……。お前の攻撃は俺にはすぐに治すことが出来る。どんな攻撃も、無駄だということだ」
「これまた面倒なものをお持ちで…そうですか」
後方に跳躍し、距離をとったアオイ。警戒を怠らない視線を送るアオイを目の前に、ヴェイダーは余裕様様の笑みで返す。その後に控えている小柄な男は、まるで食いつくかのように戦闘を先程から眺めている。
「……これは、警戒しなければなりませんね…最悪使うことも覚悟しなければ」




