発見……少し前
約十数分前、アオイが謎の二人の男に接触する少し前のこと……
「ここら辺のはずなんだが……」
「大体の場所しか特定できない故、ここからは勘での搜索となります」
「えー…私が苦手なヤツじゃん」
「つ、ツバメちゃん…そこは頑張りましょう…わ、私も頑張りますから」
ハクリ達がたどり着いた場所は、街外れのとある廃施設。やけに広く陣取られた仕切り、その中に不気味にそびえ立ついくつかの建物。時間と労力がかかるが、これから一つ一つ当たっていくしかなさそうだ。
「各自それぞれの建物を搜索、ターゲットを発見次第連絡を回し、監視。ユアは俺と一緒にすぐ近くの施設を、ツバメとツバキはその隣、アオイさんはその奥を……解散!」
「「「「了解」」」」
ハクリの指示を受け、各自その通りの行動に移る。一つの施設は各4階ずつあり、部屋の数もそう多くないように思える。敵と遭遇すれば戦闘は避けられないが、少しでも早く自分達に気を差し向ける必要がある。そういう面では都合がいいかもしれない。
「隊長……大丈夫?」
「…多分。でも、ここで落ち込んでいる暇はない。今は見つけ出すことが先決だ」
「…あんまり無理しないで下さい隊長。あなたが満足するまで、私はあなたについて行きます」
妙にかしこまったユアの言葉を耳に通し、ハクリは視覚と聴覚を研ぎ澄ます。
最近の自分に満足していた。ここに来たばかりの無能な自分とは違う。1人でも半十分に戦える、そんな半端な自分に見惚れた始末がこれだ……。
心底自分が嫌いになる……が、今はユアがいる。自分を支えてくれると言ってくれる存在がいる……それは、自分をこの世界に連れてきてくれた、あの少女のように見えて……。
「………見つける……そして助ける。イヨを」
「うん。行こう…隊長!」




