If 〜もしもの話〜ミャンと恥ずかしおままごと 本当の意味でも終わり
心臓の鼓動と熱い吐息が直に伝わる。自分のすぐ隣ではミャンがガチで寝ていて、そのせいでハクリは身動きが出来ない。おままごとのはずが、ミャンが本当に寝てしまったのだ。どうすればいいこと展開。自分も寝るべきなのか?それともコソっと抜け出すべきなのか?
いやまて、ここで抜け出したとしよう。目が覚めた時、ミャンの事だ、機嫌を損ねてしまうだろう。それがミャンである。
「んぅ……」
「おいミャン…起きろよ」
「ん…すぅ……」
だめだ。全然起きる気配がしない。それどころかどんどん深くなっている気がする。想えばこれを万が一オルドに見られでもしたら…うん間違いなく殺☆さ☆れ☆る♡
「ちょっと起きろって…………っ!」
「えへへぇ〜ハクリぃ…」
その言葉と同時に自身の腕に伝わる体温とやや柔らかい感触。寝言を呟きながら自分の腕に絡みついてきたミャンに、ハクリの鼓動は一気に頂点に達する。熱くなった顔が赤く染まるが、今はそれどころではない。
「おいおいおいおい。これは流石にやばいって……」
「すぅ……すぅ…すぅ」
焦りはするがどかそうとはしない。どかさなければならないが何か勿体ない気もする…。そんな思春期男子の思想はこんな不意打ちに弱かった。
「おいおい……おいおいおいおい……おいおいおいおいおいおいおいおい」
もはやここまで来るとうるさいの一言である。とにかくここまで焦るように、ハクリの脳内容量はMAXに達していた。
「……ハクリ」
「お、起きたか?」
しかし、ミャンの反応は無……。どうやらこれも寝言のようだった。自分の名前を呼ばれることに多少の照れくささを感じるが、何度も言う。それどころじゃない♪
「よし、起こそう。決心しよう……ミャ」
「血ぃ……血ぃ」
「…………ち、血ですか?」
サァァァアっと血の気が引く。そう言えばミャンは吸血鬼である吸血族だった。血を欲するのは種族として当然だが、ミャンはそのための欲がなかった。寝ぼけているせいで、本能が出たのかもしれない。
「血ぃ……血ぃ…」
「まずい。やられる」
どこかで聞き覚えのある言葉をつぶやきながら、ハクリは必死の抵抗(焦るだけ)をする。まぁ当然ながら何も出来ない訳で、なんとミャンはが小さな口から牙をちょこんと覗かせているではないか。
「やばいぞこれは…どうにかしないと」
すぐさま何か策はないかと辺りを見渡す。
「…………よし。何も無い。いやよしじゃねぇよ!」
そんな1人漫才をする程余裕が無いハクリ。すぐ側で、ミャンの小さな口は近づいてきていた。
「……これなら」
「ふぐ…」
ハクリがとっさの判断で加えさせたものは、自分のタオルだった。猿ぐつわのように咥えさせ、緊急だが回避を試みる。案の定ミャンはそのタオルに噛みつき、ことは難を逃れた。
「……ふぅ…これで一安心」
落ち着いたように再び寝息を立てるミャン。流石にこんな事が起きては、ハクリもその場を離れない理由には行かない。そっとミャンの腕を離し、起き上がったところでタオルに手をかける…………
「ほう……人様の家でわしの愛娘に手ぇ出すとは、あんさんもやりますなぁ……えぇ?」
「っ!?お、オルドさん!?」
恐る恐る視線を移すと、そこには狂気に染まったオルドが満面の笑みで立っていた。拳がわなわなと震え、今にもやられそうである。
「歯ぁ食いしばれや」
「まずい。殺られる……っ!?」
さて、このあとの展開は都合上見せられない。
オルドにめちゃくちゃされそうになってハクリも抵抗したが、さんざん追いかけ回されて捕まった挙句、ミャンが起きて助けてくれたということ以外は何も言うことは無い……。




