If ~もしもの話〜ミャンと恥ずかしおままごと その3
「ふわぁ…」
「えぇ……何でこうなるの」
テストをやった。ミャンはすこぶる頭がよかった。以上。
「だって簡単だもん。全部終わったんだよね?遊ぼ!」
「納得いかない!もう1回テストだ!」
「それさっきも言ったじゃん!ミャアちゃんもう疲れたよ!」
かれこれこのやり取りを何回か行っている。ちなみにハクリはなんにも教えていない。
試しにミャンの現段階の学力を図ろうと思って行ったテストで満点をとったというイレギュラー。そう言えば久しぶりに来た学校の授業に、ミャンはついて行けていたような気がする。それがこういう事なのだろうか。
「何でそうなるんだよ!!何で全部正解するわけ!?間違えろよ!」
「えぇ!?ハクリがそれ言う!?」
もはや勉強会の趣旨もクソもない。何とかしてミャンの意表をついてやろうとハクリも必死だった。参考書から解けそうにない問題を探し出し、ミャンに提示するが……
「はい解けた」
「は!?なんでそんな問題解けるんだよ!?」
「だってどれも分かっちゃうんだもん」
「あーーっ!なんかムカつくな!」
勝ち誇ったように鼻を鳴らすミャンにどうした事か苛立ちがこみ上げてくるハクリ。それもそのはず、ハクリが一生懸命解けるようになった問題を、ミャンは初見でスラスラと当ててしまうのだ。もうここまで来たら妬みである。
「……はぁ。もういいや疲れた」
「やった!遊ぼう!遊ぼう!」
「俺なんてどうせ……はぁ」
「じゃあさっきの続きからね?」
「……もう何でもいいから。とりあえず俺は風呂に入る」
気の抜けたハクリは先ほどの続きということから風呂だった(風呂があると想定される)場所へと再度移動する。流石に今回は裸エプロンということは無いようだった。
「ん?どうしたのハクリ」
「べ、別になんでもない」
変に頭に残っているせいで、ちょっと頭に思い浮かべちゃったりした自分を殴った。期待はしているものの、そういう時に限ってオルドが出てきたりする。そうなった場合、本当に殺される。
「ふぅ…そろそろ上がるかな」
おままごとで長湯するのもなんだと思い、お風呂(仮)を出る。先程から丸見えだったが、ミャンが何やら自身のベッドを手入れしている姿が目に映っていた。
「何してるのかな…ミャン?」
「さ、今日も遅いし寝よ?旦那様はミャアちゃんの隣ね♪」
「………いや、俺は地べたでーー」
「と な り♪」
まじかよ……。ベッドで一緒に寝てたなんて裸エプロンより見た目がやばいじゃないか。こんなところオルドに見られでもしたら…地獄に落とされる。
「ま、まてまてミャン。何もそこまで細かくしなくてもーー」
「だめ!ハクリも一緒に寝るの!」
「流石にそれはまずいと言うかーー」
「パパぁハクリがーー」
「待て待て待て待て!分かった!分かったから!」
すかさず父親を呼ぼうとしたミャン。もうこうなると、どうしようも出来ないわけで…だって呼ばれでもしたら即死刑執行だし……。
「……………………」
チクタクチクタクと、ありもしないはずの時計の針の音がハクリの脳内に響く。それほどまでにハクリは試行錯誤を重ねていた。
「……あーもぅ!分かった寝たらいいんだろ!」
意を決したハクリは、ガバッとミャンの隣に横たわる。もうどうにでもなれと思っている自分に何故か涙が出てきた。
「えへへ〜おやすみなさぁい♪」
当然のことながら上機嫌のミャン。果たしてこのあとどうなるのであろうか…とりあえず気まずいのは確かである。




