If 〜もしもの話〜ミャンと恥ずかしおままごと
「そこ……気持ちいい」
「そっか…ならーー」
「んぅ…痛い……もうちょっと優しく…」
「注文が多いな…なら、優しくするから……」
「はぁ……ハクリ……上手だね…」
「まぁ親にもしてたからな……」
マッサージです。マッサージですよ?何もいかがわしいことなんてしてませんよ?本当ですよ?
「ほらミャン。あんまりしてると怠けちゃうだろ…始めよう」
「んぅ…ミャアちゃんもっと遊びたい!ハクリと遊びたいぃ!」
ミャンの家に訪れているハクリ。ミャンに遅れた分の勉強を教えるという事で訪れていた。そこまで頭が良くないハクリは、ミャンに頼まれた時最初は断ったのだが、本人の熱い要望により、頭を縦に振ってしまったという訳である。この前ここに来た時、ミャンとハクリが体を寄せているところをミャンの父親であるオルドに目撃され、玄関でのお暑い歓迎には心臓が止まりそうになった。基本異性の寮に入る事は禁止されているため、こうやってミャンの家に足を運んだというわけである。
そして、趣旨である勉強を始めようとした訳だが、色々文句を付けてきたミャンの対処をしていると、マッサージに至った……。そして現状…。
「そうは言ってもな。ミャンの遅れている分の勉強片付けてからでも遅くはないだろ?まずは面倒くさいものからやってしまわないかな?」
「んー!ヤダヤダやっぱり遊びたい!ハクリと遊びたい!」
子供のように駄々をこねるミャン。こういうのに弱いハクリは思わずため息をこぼしてしまう。
「…はぁ。分かった分かったから…少しだけだぞ?」
「ほんと?遊んでくれるの?」
目をキラキラさせながらそう問いかけてくるミャン。ハクリは頷く事しか出来なかった。
上機嫌になったミャンは、頭から生えている小さな羽を小刻みに動かしていた。
……あれは機嫌の善し悪しで動きが変わるのだろうか…。
「じゃあおままごとしよ?おままごと!」
「お、おままごとって…歳いくつだとーー」
「良いじゃん!ミャアちゃんがやりたいの!やろうやろう!」
「……はぁ。分かった…」
ハクリの言葉を聞き、ミャンはおままごとの準備を始める。エプロンを身につけ、テーブルやら食器やらを用意したミャン。多分この展開は……
「ミャアちゃんが奥さんで、ハクリは旦那様ね!」
「お、おう……了解」
奥さん、旦那様という言葉でおもわずドキッとするハクリ。それに、ミャアのエプロン姿がなかなか似合っているせいで思わず目が行ってしまう。
「おかえりなさい!」
「た、ただいま…」
ぎこちなさを感じながらも、ハクリはミャンの夫を演じる。まさかこの年でおままごとをする事になるとは思わなかったが、これはこれでなかなかたのしいかも知れない。ミャンが奥さんというのも……悪くはない。
「ご飯にする?それともお風呂?」
「んーご飯かな。お腹すいたし」
「はーい♪」
鼻歌を歌いながら食器を並べるミャン。中身が入っているという事なのだろう。よくあるおままごとの光景だ。
「今日は〇〇〇のお肉と〇〇〇〇のスープよ♪」
「ん?ちょっと待て…何かやばい言葉が聞こえたような気が……」
「大丈夫大丈夫。美味しいから!」
「………これは何も入っていない。よって、現実で食べるわけじゃない…うん」
食器を手に持ち、食べる仕草をとる。満足そうにハクリを見つめるミャンの顔が、何故か本当の奥さんのように見えてしまい、どことなく気まずい。
「…お、美味しかった。ご馳走さま」
「ふふっ。お粗末さまぁ……お風呂にする?」
「う、うんそうする…」
「お風呂はあっちだよ♪」
そう言ってミャンはお風呂があろう場所を指さす。あそこに向かわないといけない空気…。仕方なくハクリは指定された場所へと向かった。




