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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
全てが変わる日…変えようと誓った日
140/313

お話

「…………」

「なぁイヨ」

「…………」

「……イヨ?」

「………………」

「なぁイヨってーー」

「何でここにいるんですか。お兄さん」

不機嫌そうな顔をするイヨの横に座るハクリは、考えるように顎に指を添える。

「んー…イヨと話がしたいからかな」

「確信ではないんですね……昨日あんなことしたのに」

体操座りをして顔を膝に埋めるイヨ。昨日の罪悪感はあるようだった。

「結果的には直してくれたじゃないか。プラマイ0だよ……うん」

「でも、イヨはお兄さんに怪我をさせてしまいました!それは真実です……」

泣きそうな顔をしながらハクリに訴えるイヨ。この表情のどこにあんな思想が秘めているのか疑いたくなる。

そんなイヨの頭に、ハクリはポンと手を置き、撫でる。

「あれは俺が不法侵入をしたからしょうがない。非があるのは俺の方だよ」

「でも……私は…」

「イヨも気が動転してたんだよ。誰にだってそういう時はあるさ……俺はこの通り大丈夫。だからもうそんなに心配しないでくれ……な?」

「…………分かりました。お兄さんがそこまで言うなら、イヨはもう気にしません。昨日はごめんなさいです」

「こちらこそごめん。まさかイヨの家だなんて知らなくて」

お互いに礼を交わし、空いてしまった距離を戻す。包帯越しでも分かる無垢な笑みを浮かべるイヨ。その笑みの裏が余計に怖くなった。

「…やっぱりお兄さんも、私の考えが間違っていると思いますか?」

「……そうだね」

笑みを一変し、俯いた表情を顔に出すイヨ。口にした内容はもちろん自分の考えの事だ。イヨの過去はハクリには分からない。でも、何か辛いことがあった事くらいは理解出来る。その延長線上でその考えに至ったという事も……。

「……私のお話……聞いてくれますか?」

意を決しての提案。イヨの手は震えていた。

ハクリの回答は一つだけ……。それが、彼女を救うためならば……

「分かった。聞かせて」

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