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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
全てが変わる日…変えようと誓った日
139/313

作戦会議

「なるほど、接触は出来たのですね」

「でも出来たのは本当に話すだけ、こっちの話を聞き入れようとはいなかった……ごめん」

夜に差し掛かり、ハクリ達は街の宿を借りることにした。既に辺りも闇に染まり、頼れる灯火を囲みながら今日の成果を報告をする。ユア、ツバメ、ツバキ、アオイの目線の先にはハクリがいるが、ハクリはこれと言って戦果をあげることは出来なかった。

突き止めた所までは良かったが、その人物はイヨだった。まだ幼い可憐な少女がそんな思想を持つきっかけはあの包帯の下にある盲目が語っている。それでもってこの国の現状…。反社会的な思想を持つのには十分すぎるきっかけだった。

そしてあの魔力。壁を突き破るほどの氷の刃、そして深手をおったハクリの傷をみるみる直していく。相当の使い手だろう。

「…俺の報告はこれくらい。とりあえず言えることは、あの子は相当の魔法の使い手だということ」

「えぇ…それじゃあもうツバメ達の手に負える相手じゃなくない?」

「うぅ……私達は魔法、ほとんど使えませんからね」

「ちょっと2人とも、何も私達は戦いに来たわけじゃないんだから」

珍しく怯えるツバメとツバキ、らしくもない言葉を口にするユア。察するに戸惑っている様子だ。

「まぁ落ち着け皆。ユアの言う通り俺達は誰も殺さない。だからこそやり方は俺達で考えなきゃいけないだろ?今この時から怖気ずいてどうする。大丈夫。きっと上手くいく」

「隊長…」

「そっか…そうだよね!このツバメに任せておいて!」

「ほわぁ…つ、ツバキもやります!」

今は落ち込んでいる暇はない。むしろ今は手を尽くさなければならない。全員がそう自覚した。

「ともあれ、今は早急に手を尽くす必要があります。隊長、今後の行動はいかが致しましょう」

「とにかく俺は何度かイヨのところに行ってみるよ。それで何かが少しは変わるかもしれない。皆は引き続き街の調査に出てくれないか?」

「そんなっ!それじゃあ隊長だけが危ない目にいじゃないですか!私だって…私だってーー」

「ユアさん。これは隊長の命令よ。あなたが口を出していい事ではないわ」

アオイの低い音調で放たれた言葉に、ユアは言葉をつまらせる。自分のために何かをやりたいという気持ちに内心嬉しかったハクリだが、自分以外の人間がイヨと接触するのは極力避けたい。その考えから口にする事は止めた。

「とにかく明日もこのまま調査を続行。イヨの他に対象がいるかも知れないから、全員、心してかかるようにしてくれ」

「了解しました」

「りょーかいっ!」

「り、了解です」

「…………」

ユアが不機嫌だったが、とりあえず会議は終了。各自、自分の部屋へと戻って行く。この部屋はハクリの部屋なので、ハクリは一人、ぽつんと残されていた。

「……イヨ」

あの無邪気な顔が頭を過ぎる。包帯をしていても分かるあの子の無垢な顔は、誰が見ても曲がった感情は抱いていないと錯覚してしまうだろう。しかし、現状は違った……

「…絶対に助ける……助けなきゃいけない」

異様は義務感と責任感に包まれたハクリは、1人拳を握りしめた。

「……隊長」

拳を握りしめ、何やら覚悟を固めたハクリを扉の隙間からのぞき込むユア。先程の会議が解せなかった彼女は、何か言うことはないかと自分の部屋に素直に戻れないでいた。

もっと隊長の役に立ちたい……そんでもって…………褒めて欲しい。

そんな言葉が脳裏を過ぎる。

「あぁもう何考えてんの私!違う違う違うの!隊長は隊長であって私の隊長!それ以外なんてーー」

「こんな所で何をしているんですか……覗きですか?」

「ひゃわっ!?」

小声で悲鳴をあげるユア。自然に音量を抑えてしまう自分が情けない。

「べ、別に何もしてませんよ………わ、私戻りますね!」

「……??」

颯爽と走り去ったユアを見て、疑問を生じさせるアオイ。顔から察するに……

「はぁ……隊長も罪深い人です。隊員の心を揺さぶるとは…」

副隊長はお悩みである。隊員の事も…………

「私もお力になれていればいいのですがーー」

………………自分のことも。

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