If 〜もしもの話~シノアと薬物実験(仮)その2
「嫌だ!俺は絶対に飲まないからなっ!」
「いいじゃないですか!一回だけ!一回だけですから!」
手に持ったビーカーをハクリに押し付けるシノア。必死に抵抗するハクリは何とかして阻止しようと試みるが、シノアのアレが胸に押しあたり、思う様に力が入らない。ただでさえでかいソレを、容赦無く利用されてはこちらもなす術はないし、まず力が入らない。
「や、やめてシノア!当たってる!当たってるから!」
「ハクリ君が飲んでくれるまでやめません!さぁ早く飲んでください!」
そう言いながらハクリの口元にビーカーを近づけるシノア。この手の研究のこととなると、シノアのいつもの性格は崩壊してしまうのが普通である。故に、いつもなら恥ずかしがるところを全く気にしていない。
「さぁさぁ早く飲んでくださいハクリ君…ふふっ…」
瞳に光が灯っていないシノアに恐怖を覚えながらも、ハクリは未だ抵抗を重ねる。しかし、力が入らないおかげでビーカーはハクリの唇に接触しようとしている。こうなるとハクリも気を使っている余裕は残されていないわけで…
「え?うわっ!」
「きゃっ!」
必死に抵抗していたハクリだったが、どうなったのか体のバランスを崩し、背中から転倒してしまう。当然のことながら、ハクリの体重をかけていたシノアもハクリの上に横たわる様に倒れ、豊かな双丘が胸に半端なくのしかかる。
「っ!?ちょ、シノア!」
「いったたぁ……大丈夫ですかハクリ……くん」
意味深な意味ではなく、体が重なっているシノアとハクリ。それに気がついたシノアは段々と顔を赤く染めていき……。
ボンっ
という音を立てる。そしてフリーズ。
「し、シノア……?事は穏便にーー」
「第十八風系魔法っ!」
「ちょ、それ中級魔法ってああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そしてハクリは風の弾丸によって突き飛ばされる。天井に体をぶつけ、床に再度打たれる。ここで意識を保って入られたのは奇跡かもしれない……しかし、この奇跡が、これから起きる事件の序章となる事を、ハクリはもちろん、顔を真っ赤に染めたシノアも知る事はなかった。




