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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
全てが変わる日…変えようと誓った日
129/313

仲違い

賑やかな街の中を行き交う各種族の人々は、自分達の事など気にもとめずに歩き進む。遠い所から来たとは察していないのか、人目を置くわけでもなかった。

「アオイさんの情報だとここら辺だよな」

アオイから預かったメモを目視し、町並みと照らし合わせる。和風なこの街にも、以外に外の世界の文化が取り入れてある所があった。今まで見てきた町並みとは一変して、この世界でいつも見るような中世的な街並みに変わる。そして、アオイがある人物から受け取ったというメモには、この場所が記されていた。

「これだけじゃここら辺全体を指しちゃってますよね…範囲が広すぎます」

「でもこれが無けりゃこの街全部を虱潰(しらみつぶ)しで探さなきゃならなかったからな。これがあるだけマシだな」

ある程度範囲が決まれば、後はその小規模を当たるだけである。対象に接触するまではそう長くない。気を引き締めて取り掛かる。

「まずは聞き込みからするべきかな…」

「でもあんまり聞き回ると怪しまれちゃいますよ?」

ユアの意見はごもっともである。余り出過ぎた行動を重ねれば対象に勘づかれる確率も低くはない。でも、こちらには時間と猶予は残されていない。迷っている時間はないのだ。

「そこはうまく口実を重ねるさ。上手いこと怪しまれずに、適格な情報を導くのも手だろ?」

「そ、そうだけど…その……隊長そんなに頭いいの?」

その質問でハクリは自分の成績を思い出す…それも前の世界のもの……。

~1学期期末考査の点数〜

数学68点

社会科96点

化学58点

地学42点

英語92点

そして、問題の国語力だがーー

古典39点

現代文12点

…………さて、何故英語と社会といったハクリにとって何の役にも立たない教科が高得点なのか、そのクセして日本に生きている上で大切な現代文が壊滅的な点数なのか…本人でもよく分からない。もはや体質的な問題で引きこもりなのかと疑ってしまうほどだ。

さて問題です。これから口実でうまく切り抜けると言い張る人物の国語力はもはや皆無です。ないと言っても過言ではありません。果たして目標は達成できるでしょうか……

…………………………………………………………。

無理ですね。はい

「な、何とかするしかないだろ。だって他に手はないんだし」

「なんか不安になってきたよ私……もっとほかの手を考えようよ…」

「そこは信頼だろ!もっと俺を信じてもいいんじゃないの!?」

「だって不安なんだもん!」

珍しく睨み合う2人。当然周りからの視線を浴び、目立たなく行動するはずが堂々と目立っているという有様である。気がつけば、ハクリとユアを取り囲むように、野次馬が寄って(たか)っていた。

「大体隊長はいつも頼りないの!もっと隊長らしくシャキッとして下さい!」

「ユアだって人の事言えないだろ!大事な時に失敗した事だってあるじゃないか!」

次々に文句が飛び交う2人。もはや任務のことなど忘れ、互いが自分の思っている事を口に出すことで精一杯である。

「もういいっ!隊長なんて知らないっ!」

そう言って駆け出したユア。ハクリは追いかける事もせず、苛立ちを顕にした顔でその背中を眺めていた。

「はぁ…何やってんだ俺は」

今更になって後悔という言葉が頭に浮かぶ。今はこんな事をしている時ではないのに…そう思いながら、ハクリはユアの走った後を追いかけ始めた。

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