評価
「アオイさんが指定した集合場所はここだよな?」
「連絡によればここですね。急な招集だから緊張するなぁ…」
約十分前、アオイから唐突に招集がかかった。話によると、捜査のヒントを獲得したらしい。どのメンバーも手付かずで途方に暮れていたため、アオイのこの通達はかなりの希望をもたらした。早速指定された集合場所に足を向け、到着したわけだが、ハクリとユア以外はまだ誰もいないようである。
この地域の服装である着物に身を包んだ2人。自然と様になっているのはハクリで、違和感がないのがユアである。いつも巫女服を軽くしたような格好をしているユアが、着物を着ても何ら遜色なかった。対してハクリは、地元が地元なため、まぁまぁ様になっている。
「……どうかしました?」
「ユアってあれだよな…和服が似合うっていうか……」
「そ、そうですか?」
ハクリがそう言うと、ユアはほのかに頬を赤く染める。褒められたことが嬉しいのか、髪を指でくるくる巻き付け始めた。
「いつもの服装といい今の服装といい、とてもに合ってると思うぞ」
「ありがとうございます…ふふっ」
「あーっ!隊長がユアの事口説いてる!」
「つ、ツバメちゃん!そんな事言っちゃダメですよ!」
ユアとそうこうしていると、ツバメとツバキが合流した。不機嫌そうに人差し指を立てながら頬をふくらませているツバメは、駆け寄るとハクリの腕を抱き寄せる。
「ねぇ隊長!私は?似合ってる?」
少し控えめなユアよりも控えめな感触がハクリの腕に伝わり、心臓の鼓動が高まる。無邪気なのはいいが、容赦ない行為は精神的に辛い。
「か、可愛いよ。似合ってる」
「そうでしょそうでしょ!なんてったってこの私なんだもん!」
拘束から開放されたハクリ。嬉しそうにしているツバメは鼻歌を歌い始める。
「あ、あの…」
そして次はツバキの番だった。もじもじと恥ずかしそうにしながらハクリの前に立つ。
「わ、私は……似合ってますか?」
純粋って、色んなタイプがあるんだなと実感した瞬間だった。ツバメの様な無邪気な純粋、ツバキの様な清楚な純粋…言葉って深いなぁ……。
「似合ってるよ。可愛いんじゃないかな?」
「ほ、ほふぇ!?ふえぇ……」
ボンッと頭から煙を出し、後ずさりするツバキ。未だ高揚しているツバメの背中に身を隠してしまう。
「ふーん…隊長は誰にでもそう言うんだ…」
「人を浮気性みたいに言わないでくれ」
「だってそうだもん」
プイっと顔を逸らすユア。不機嫌になる理由が分からないハクリは苦笑して過ごす事しか出来なかった。
「それにしてもアオイさん遅いよねぇ」
「対象のヒントを見つけたって言ってましたよね…どうやって見つけたんでしょうか?」
「アオイさんの事だしそれはもう想像を超えるような事とか……」
ユアのそこの言葉を機に、各自のシンキングタイムが始まる。各脳内に刻まれたアオイのやり方を思い浮かべ、楽しそうな顔をするもの、お花畑にいるような顔をする者、何故か赤面する者と多種存在する。
「私を何だと思っているんですか…」
「あ、アオイさんっ!?」
ユアが大きめの声を上げる。頬が赤く染まり、何を考えていたのか聞きたくなるが、それは今は置いておく事にする。
「アオイさん、そのヒントとやらを早速聞いてもいいですか?」
「はい。どちらにせよそのためにお集まりしてもらったのですから、言わないのはおかしいでしょう」
周りに聞かれぬよう互いに距離を縮め、顔を近づけ合う。ハクリ以外は全員女性陣ということもあり、視覚やら嗅覚やらが以上に効くが、何とかして落ち着かせる。
「これは、私が先ほどある方からもらった情報です……」




