頑張りすぎ
「はぁ…はぁ……」
「今日はこのくらいで終わろうか。かれこれ30分は打ちっぱなしだぞ」
次の日、特にすることもなかったハクリは施設内をぶらぶらとしていた。すると、丁度演習場で訓練をしているユアを見かけ、見学をしていた。ハクリは30分と言ったが、どうもユアはハクリが来る以前から訓練をしていたようで、実質30分どころではないと思う。ユアは呼吸を上げ、肩で息をしていた。
「まだ…まだぁ……っ」
「ユア!」
足をふらつかせ、バランスを崩したユアを間一髪の所で受け止める。
「ご、ごめんなさい……私…疲れてて」
「いや、これは体調不良だ。今部屋に連れて行ってやるから、場所を教えてくれ」
ユアの体はどこか熱っぽく、普通の疲れには見えなかった。それを見たハクリは、ユアを抱えてその場から駆けて行った。
「ふぅ…ただの体調不良のようです。このまま寝ていれば大事には至りませんが……とりあえずーー」
ユアの加えた体温計を手に取り、辺りを見回してため息をこぼす。
呆れる気持ちも分かるが、別にやましいことがあった訳じゃない。
「とりあえず隊長の部屋で寝かせるのはどうかと思いますが……」
「いや、他意はない。部屋を聞こうにも気を失ってたからさ…本当だって。頼むからそんな目で見るなよ」
まるでゴミを見るような目でハクリを見つめるアオイ。しかし、本当にやましい気持ちがないと分かってくれたのか、再び呆れたようなため息をこぼす。
「……まぁ良いでしょう。何となくですが隊長はそんな事が出来ない人に見えますし……とりあえず私は総司令官にこの事を伝えてきます」
立ち上がり、ハクリの部屋を後にする。アオイが出ていった後に、改めてユアの寝顔を見る。
「……」
少し顔は紅潮しているが、見ているだけで和やかな気持ちになる。自然と笑みが零れ、飽きもせずずっと寝顔を見続けている。
「……ん……」
「すぅ……」
唐突だが、ハクリは夢の世界へと誘われた。




