リランと機巧族
「ルリとイタチは僕が作ったーー」
数日前、ハクリが初めてリランと対面した日に伝えられた事だ。組織の秘密と機巧族の存在を聞いて、まさかとは思っていたが、悪い予感が的中した。
どう言っていいものか分からない。そんな感情が渦巻いたのをよく覚えている。
しかし、ルリやイタチに対する感情の変化は訪れなかった。
機巧族。
元は人間だったものが、リランによって不足した部位を補正され、蘇生した者をまとめて、リランがそう呼んでいる。
彼らは武装技術という個別の能力を与えられ、大全種族反対主義…もといAIPとして世界の調和を、汚職を経て保つ役目を果たされる。
その驚くべき事実を聞いて、自分はどう思ったのか…。
あの時の記憶はどうも思い出せない。
リランは何かを隠しているような…また別に自分に言わなければならない事を隠しているような気がしたことは覚えている。
「もれなく間人属として診断される特別効果付きときたら…そりゃルリもイタチも、俺と同じ種族になるわけだな」
ルリやイタチに対する気持ちは変わらない。それだけで今は十分だ。そう思いながら、ハクリは一人机に突っ伏していた。
日差しが窓から直に当たり、なかなか暖かい。このまま眠ったらどんなに気持ちいいのだろうか……
「くかー」
そんなことを思っていると、すぐに寝付けてしまうのがハクリである。
ちなみにこの隊長は、この2時間後、ご立腹のアオイに叩き起されるハメに会う。




