対全種族反対主義情報調達班
「彼がこの度私達の隊長となる、ハクリ隊長です」
「「「……」」」
デジャヴを感じるこの空気、学園に入学した時の事を連想させた。窓から光が差し込む空間は、どこか教室のようで、ここが機密施設である事を忘れさせるようだった。
「……隊長。ご挨拶をーー」
挨拶を……と言われても、何を言えばいいのか分からない。というか凄く気まずい…。
何から何まであの時と似ている……。
「……よろしく」
パチパチと拍手が送られてくる。隣にいる女性は、次の話を進めるために口を開いた。
「私達のチームは情報班。主に対象、その他重要機密情報の取得と管理が仕事です。隊長含む総員5名で結成され、副隊長を私、アオイが努めさせていただきます」
「あの…アオイ副隊長」
アオイによる組織説明が1通り終わった所で、挙げられた手がひとつ。
セミロングを右に結っているアオイと違い、彼女はその髪を流していた。右目が青く左が赤いオッドアイが印象的な小柄な少女は、気になっていることを口にする。
「えーっと…隊長男だよね?それって大丈夫なのかな?」
「ツバメさんは隊長が男だと嫌ですか?」
「い、いやそうじゃなくてね!だって情報班って女の人しか…居ないじゃん?」
そう、ハクリが感じていたもう一つのデジャヴ。運命のいたずらか、ハクリが隊長を務める情報班には、自分以外に男がいなかった。
「隊長は別の話でしょう。それともツバメさんはーー」
「あぁもう分かった!私の質問おしまい!」
アオイと話し合っても押し切られるだけだと悟ったのか、ツバメは話を断ち切ってしまった。
「…他に質問がある人はいらっしゃいませんか…………なら、今日はこれで解散とします。各自隊長に挨拶に向かうことを忘れないで下さい……では隊長」
「……解散」
その言葉とともに、ここにいたメンバーはアオイとハクリを残して退出する。リランから直接司令がない限り、情報班は基本暇だということだ。
「…ところで隊長」
「どうかしたか?」
自分も自室へ戻ろうとした所で、アオイに呼び止められる。
「総司令官から直々に訓練をしてくれと頼まれております。これから致しますか?」
アオイがいう総司令官というのはリランの事である。そして、訓練というのは、ハクリがそれ相当の強さを身につけるためのものであり、ハクリはこのためにここに居るのだ。
「……頼む」




