第0話
明日からよろしくお願いします!
流れに流されてやってきたこの世界、悪いものではなかった。
夢にまで見た他種族の可愛い女の子達とこうして学校生活を送れるとなると毎日が夢のようである。
…………果たしてそうだろうか?
「ちょ、ちょっと狛李!こ、こここれどうにかしてぇ!」
そう言って俺の名前を呼ぶ金髪の少女は妖精族のユリ・クライヤ。気だるそうな顔をしながらユリの方を向くと、何やら揉め事に巻き込まれているようだった。
「ミル!止めてよ!そ、そんなとこ触ら―ひゃんっ!」
「えへへ〜。良いじゃないの。僕とユリの仲じゃない?」
ユリにセクハラをしているボーイッシュな少女は竜人族のミル・メルトロール。彼女の角と勇ましい羽は彼女が竜人である事を伝えているようだ。
「ねぇねぇ狛李君狛李君!」
「ん……っておい!そりゃ何だ!」
助けを呼ぶユリを無視して振り向くと何やらぶくぶくと泡立っている液体が入った瓶を持っている大人びた少女がいた。
シノア・イーリア。天人族である彼女には片方の羽しかない。しかし頭脳明晰で様々な薬の開発を行っている。普段つけているメガネも今は取っていた。
「ふふっ。新しい薬が出来ましたよ!さぁご賞味あれ!」
「いや飲まないよ!?飲んだら死にそうだもん!」
「じゃあそれは私が飲もうではないか!」
そう言って不意にシノアから瓶を奪う小さな影。
小人族であるリリィ・ノーべリアだ。小人と言っても人差し指サイズとかそこまでではない。まぁ120くらい?
リリィはシノアから取った謎の液体を一気に飲み干す。
「うっ……うぅ……」
「お、おいリリィ!」
飲み干した途端にその場にうずくまるリリィ。何やら苦しそうだった。
「おいシノア!この薬品なんの効果があるんだ?」
「ええっと……ダメージ?でしたような」
「殺す気か!ってかお前それ俺に飲ませようとしてたんだな!」
「ま、まぁ幸い私には治癒魔法も使えますし……」
そう言ってシノアはリリィに治癒魔法をかける。
震えていたリリィがピタッと固まり、数秒の間が空く。
「り、リリィ?」
「んなぁぁぁぁあ!」
「うおぁぁぁぁあ!」
勢いよく立ち上がったかと思えば俺はリリィに投げ飛ばされた。
壁に激突し、床に落ちた俺は鼻を抑えながら立ちあがる。
「ってて……何なんだよ一体……あ、悪いヒノン」
俺のすぐ側で本を広げながら俺を見つめる猫耳の少女。どうやらうるさくて集中出来ないらしい。
ヒノン・ミルモント。獣人族である彼女は物静かである。いつも本を読んでいて誰とも関わらず、静かに過ごしている。
「……別に……気が向いただけだから……」
確か俺がいた世界では猫はツンデレだのクーデレだの言ってたよな……そんな感じなのか?
そう思っていたところで視界が黒く染まる。
「はーくり。私だよ?ミャンだよ〜?」
「ちょ、お前何してんだよ」
吸血族であるミャン・リヴァン。吸血鬼なのに血を吸うことに興味が無い。容姿も幼く傍から見れば危ないものである。
ミャンは片手で俺の視界を隠しているようだった。指が俺の首筋をなぞる。
ミャンの吐息が耳にかかり、体がゾクゾクと震える。
「何って……ふふっ。恥ずかしいなぁ」
「そんな自分でも言えない事するなよ!怖いじゃんか!」
俺がそう言うとミャンは「ちぇー」と言いながら俺の視界を解放する。
俺は息を荒らげながら立ち上がった。すると―
「お姉ちゃん。お弁当持ってきた…………よ?」
教室のドアが開かれ、現れた人物は、姉と呼んだ人物の有様を見て絶句した。
竜人族であるミルによって服ははだけ、顔を紅潮させているユリ(姉)を見て妹は顔を青くした。
ユユハ・クライヤ。ユリの双子の妹で、唯一別クラスの女の子。ユリと違ってアレは大きい。
「ユ、ユユハ!?ち、違うのよ!これは―」
「うわぁぁぁあん!お姉ちゃんが変な趣味をー!」
耐えきれず走り出すユユハ。ユリは顔を青くして見つめる事しか出来なかった。
…………とまあこんな毎日。俺は苦ではないが、他はどう見るのだろうか。
まぁこれが全てではないが、これからの物語に十分期待してほしい。
突然の投稿失礼致します!
 




