Holmes?
「面白いね、君....」
お!?ビックリした...あれ、この子教室の席で隣の子じゃん。
今時は珍しい金髪ストレートの子だ。驚いたのはあの子の影が薄いという理由ではなく、ただ単に俺が集中してたからだろう多分。
「ははは、ぶちかましちゃったよ」
「わざわざ、こんな所に来て、優越感に浸ろうとするクズだと思っていたけど」
「そういうことだったのか。実に面白い……私は佐渡 探理菜」
そう言うと彼女は顎に手を当てて、熟考し始める。それにしても、この時代に金髪というのは訳ありの子だろうか。
金髪というのは珍しい。なぜなら、金髪というのは外国人の証だからだ。敵である外国人に髪の色を近づけようとする人が多く居る訳が無い。
それに、髪を染めるのは校則で禁止されているし、してもバレる。染めているかどうかが簡単にわかるキットがあるからだ。
つまり、地毛ということになるのだが、外国人の出入国は厳しくチェックされていた。魔法士はそれが顕著で、外国人魔法士が住むことは不可能に近い。
だが、ここに外国人魔法士二世――この学園の入学条件は両親が日本に住んでいることの為――が居ることは間違いない。こう考えてみると完全に訳ありだな。
俺はそんなことを考えて右をふと見ると分厚い虫眼鏡を向けられていることに気付いた。ていうか今時虫眼鏡!?というかそもそなんで俺に向けているんだ!?
「お、失敬しっけい。探偵の血が騒いでね」
「探偵?」
俺が痛い子かもという目で尋ねると僅かに怒りながら佐渡さんは答えた。
「比喩にあらず探偵の血筋なのだよ。一くん」
「このセリフはホームズか?いやいやまさかな」
俺は小声でそう呟く。
「That’s right!元はホームズだったのさ。祖父の姓がね。そして魔法士。頭脳強化魔法の使い手だ」
「頭脳強化魔法?」
容姿に似合わない言葉遣いはホームズの影響なのかと気付きながら、俺は疑問を口にした。
「頭脳強化魔法というは簡潔に述べるなら頭を良くする魔法だ」
「何その夢のような魔法」
頭を良くするとか反則過ぎる。ひょっとして名探偵の異常な推理は魔法によるものだったのかもしれない。まあ、そう考えるとガッカリだけど。
「まあ、想像に容易いけどシャーロック様も使っていたと伝えられてるよ。それと、頭脳強化魔法は一族固有の魔法だから私も使える」
「へぇ〜モリアーティが使ってたりとかするの?」
「そもそも、モリアーティの存在は疑問視されているんだよ」
お、生徒達が立ち始めたな。どうやら、終わったらしい。終始会話してたけど大丈夫だろうか。というか、問題解決してない!
「じゃあな」
「うん、君気に入ったよまたね」
俺は別れた後も考えながら教室に帰っていく。廊下に丁度出ると、校長が待っていた….