魔法実験室
修正により、主人公が完全に魔法を使えない設定になり、スピーチでそれについて何も言っていない設定になりました。
俺はそんなことを思いつつ、安永さんにある部屋の使用許可を取る。
何の許可かといえば単純である。魔法実験室の許可だ。魔法実験室いうのは字面そのままの意味だ。なぜ、そんなものが存在するかといえば、魔法の威力によるものである。
蝋燭の明かりを灯すような火力の魔法であれば室内で使っても注意を払えばいいが、もちろんそんな魔法しかないわけがない。魔法とは装備する必要がない兵器として運用されている。
すなわち魔法はミサイルや艦砲射撃に匹敵、いやそれ以上の威力を持っているのだ。魔法士の家系になれば大なり小なりそういう部屋を持っているのである。
俺は左手の手で認証を済ませ、エレベーターを起動させると乗り移った。そして、踏ん張るための姿勢を作り片手を上げ、ひとつしかないボタンを押した。
すぐさま、押したほうの手も上げる。
浮遊感を一瞬感じるとゴンッ、手が強くぶつかった。
「いってぇ」
思わず口に出る。
慣性で体が浮き上がるとか欠陥エレベーターじゃないか、と思うのだが仕方ない。実験室の場所が場所だからである。
地下三千mにあるのだ。生半可なスピードではかなり時間がかかってしまう。
実験室というのはもちろん魔法士が使う。なので、魔法士ありきの設計なのだ。本来ならここで慣性制御の魔法を使い、慣性がかからないようにするのだ。
俺にも慣性制御のようなものは使えるのだが、展開するのに時間がかかるため、いつも使わずゴリ押しで解決していた。
ちなみに家の魔法実験室は広大である。なぜ、表は普通の家なのに広大な実験室が作れるのか。それは地上に所有する土地は普通の一軒家並みであるが、地下に所有する土地は大きいからである。
空、地面、地下と土地が売買されているためこのようなことが可能なのだ。俺は入って少し走り実験可能エリアに入ると足を止めた。
恐らく顔合わせや、ライバル意識を生ませ実力向上のために魔法ありの組み手のようなものをするはずだ。すなわち、久しぶりに魔法を使うだろうということである。
とりあえずは合格したため、訓練がなかったので正直な話ダラダラ過ごしていたのだ。だから慣らしをするためにここにきたのである。
俺は多大なハンデを抱えている。なまっている状態では主席のメンツも丸つぶれであろう。
まあ、つべこべ言わずはじめるか。
「擬似魔法システム起動!」
俺は久しぶりに起動コマンドを口にした。