歴史
そのまま暗い雰囲気でガイダンスは進んでいく。ガイダンスが終了すると、今度は写真撮影に移った。写真撮影の為に外へ出ると、保護者と思わしき集団が居る。
二魔学の歴史は浅い。そもそも魔法技術の歴史が始まったばかりだからな。その歴史は百年にも満たない。魔法士の名家と銘打っている一家の俺もまだ二代目。一番血を重ねている所でも三代目だ。
正確には陰陽師などの家系や西洋の魔女の生き残りなどは幾代も累代が進んでいるのだが、現代魔法士の家系としては最高でも三代目なのである。
あ、母親も地味に居るな。一部を除き我が子の様子を見て母親は苦笑していた。遺伝子が主に関わってくる魔法士なのだから、二魔学の子には二魔学が多い。
すなわち、彼らは親であると同時にOBである。何が起きたのか察したのだろう。
何が言いたいかといえばこの教育方針は全く変わっていないのだろうということだ。
どうやら高校生にもなって保護者と一緒に写真撮影をするらしい。ここら辺はお嬢様、お坊ちゃま高校みたいだ。
何かちぐはぐな学校だな!
俺たちはつつがなく写真撮影を終えると自由解散となった。自由解散となった瞬間に例のアンドロイドのような少女が俺に近寄ってきた。
え、保護者と帰るパターンじゃないの!?なんでコッチに来てるんだよ!それにこちとら親が側にいるんじゃい。
「あれ?誰か走ってきてるけど?お友達?」
「いや、違うよ。クラスメイトだけど」
「一目惚れかしら」
どこかウットリとしながら母は語る。それ、魔法士的に大丈夫なのか!?一応血筋重視だろ!そんな内心のツッコミは届かなかったのだろう。
青春っていいものね~と言いながら母は去っていく。邪魔にならないようにという配慮だろうか。そういう配慮要らないから。むしろ邪魔してくれ……
そんな気持ちとは裏腹に彼女は近づいてくる。好意を持ってくれているならまだマシなのだが、これがジっと見つめられて不快だった。なんて理由でクレームを言いに来ているなら嫌だな。
というか、その可能性の方が高い。一目惚れなんてことは流石にないだろう。そう考えている間にもう少女は目の前に立っていた。