さん
「昔っから頭は悪い癖に勘だけはいいなー」
教えてくれないの?
「……」
どうして、俺の記憶が曖昧なのか。
何故ここに俺たちはいるのか。
ここは何処なのか。
「……」
……
もしも
「!!」
もしも、俺がこの状況を理解できたら
「本当、勘がいいなー。なんで、それやったら真実を知れちゃうって思えるのかなぁ」
……そっか、俺、
もうすぐ死んじゃうのか
「うん」
んでもって、ここはもしもの世界なんかじゃなくて夢の世界
「うん。もしもボックスの開発が不可能だと思った私はせめてもと、理想の世界を体験できる装置を作った。そして、その完成と同時に君の病気が発覚した。」
だから、俺とお前の意思を繋げて同じ精神世界に押し込んで、体はコールドスリープさせる。俺だけじゃなくお前自身も
「いつか、君の病気を完治させられるほど医療技術が発達した未来に一緒に目をさませるように」
それまでは、共に幸せな世界を生きながら
「でも、そのためには君の意志が必要不可欠」
ずっとお前と一緒にこの世界で暮らしたいという意志が
「うん。だから、お願い、それを望んで。ずっと一緒にいよ?この何でもありのご都合世界で来そうにない未来を一緒に待とう?」
……
「お願い」
駄目だよ。お前の未来を奪うなんてやだよ。知ってるか?俺、お前のこと大好きなんだぜ?なのに、大好きなお前が俺のせいでこんな世界に縛られるのは耐えられない。
「……」
だからさ、俺の分まで幸せになってよ
「君のいない世界で幸せになんかられないよ」
それでも、他のいい男見つけてさ。幸せになれよ
「……」
な?
「もういい。もしも、君が私とこの世界に生きることを望んでくれむぐっ!?」
もしもはおしまい
「……いやぁ、ぅっ…わたしは、君と…」
眠った本体を誰が守るんだよ
「お金、…っ使って人、雇った…ぁ」
そんなん信用ねーじゃん
「けど、君のいないところはやだよぉ」
ならさ、こうしよう。お前のその天才な頭脳で医学を100年進めるんだ。そして、俺を起こしてお前が治療する。目覚めた俺が最初に見るものはお前。俺、それならすごいハッピーだから。
「……わかった」
その間に他に幸せを見つけたら俺なんか忘れてくれていいから。
「それは嫌。忘れてなんてあげない。すぐに君を助ける術を見つけてみせるから。他の幸せを見つける暇なんてないから」
おう。楽しみにしてる
「絶対救ってみせるから」
ああ
「でも、最後にこれだけ言わせて」
「わたしも君が大好き」