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仮想世界の創造神  作者: カナメ
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第14話 契約者

完全に勢いで書いてます。矛盾、誤字とかあったら教えてくださいね。

深夜、魔法学院が建造された湖上の孤島……その端っこにとある人物が佇んでいる。



何かをしているわけでもなく、何かを見ているわけでもない。

ただぼんやりと大陸一広大な湖を前に佇んでいるだけ。

少なくとも客観的にはそう見える。

いや、そうとしか見えない。



だがそれはすぐに違うと証明される。

その人物の前方約10メートルあたりからブクブクと水泡が浮かび上がる。

しかもその量はあまりに異常ともいえる程に。



ブクブク……

その音は遂にはゴポゴポッと明らかな変化を形にしていく。ただ事ではない事態にしかし、その人物はピクリとも動かない、動じていない。今まさに水面から浮かび上がるであろう何かを知っているかのように……いや待ち望んでいるかのようにも見える。



そして……それは水面から静かに姿を現す。

いや、現した『何か』にとってはそのつもりだった。

しかし如何いかんせん図体がでかすぎる。



静かに姿を現したつもりでも、実際はバッシャーーーッと派手に水飛沫みずしぶきを上げての登場なので周囲はまるで通り雨が降ったかのようになる。



『何か』を呼び出した本人?すらもそれによってびしょ濡れ……かと思えばその服に水一滴すら浴びてはいなかった。

理由は明白。



己の体の周囲に薄い水のベールを張って水飛沫をやり過ごしたのだ。

言うだけなら簡単だが魔力を自在に使いこなし、瞬時に水のベールを張った事から魔法使いとして非凡な才能を持っていることがうかがえる。



さほど水飛沫に気にもとめず、現れた『何か』を見上げる。どうやら待ち人?との待ち合わせだと分かる。



その人物が見上げた先には長く、巨大な蛇……見る人が見ればそれは『水龍』だと一目で気付いただろう。



しかし何も知らない人間が見ればまさに巨体を誇る蛇にしか見えない。

未だ体の半分以上が水中ゆえに全長までは分からないが、水面から現している部分だけでも15メートルは優に超えている。

頭部はまんま蛇だ。長い舌をチロチロと口を開けて出し入れしている。



とても知性があるようには見えないが、しかし『水龍』を見上げる人物……魔法学院の最高責任者、ボルトアは親しげに話しかけた。



「今宵も元気そうで何よりだ。何か湖に異常はあったか?」


『水龍』から返事はない。

ただし直接的には。『龍』は声を発しない。

いや、発せないが正解というべきか。



声とは通常、声帯を振動させることによって声を発する。

だが『龍』という生物は念話で同族と意志疎通をしあうので、そこらへんは人間に比べて進化していないのだ。

いや使う必要などないのでそもそも鍛える必要がないというべきか。



つまり、『水龍』は音として発言していないだけで、指向性をもった念話でちゃんとボルトアに応えていた。



『我々龍種に元気も糞もあるか。生きているか死んでいるか…そのどちらかだ。こうやって貴様の呼び出しに応えたからには答えは明白。一々下らんことをのたまうな』



「相変わらず辛口だな、まぁ我々人間はこうやってあえて知りながらも下らん事を口走る種族なのだ、大目に見てくれ」


つくづく理解できん、と『水龍』が吐き捨てる様子を魔法学院長、ボルトアはやや苦笑して「まぁまぁ」と気難しい『水龍』をなだめる。



「それで、湖に異常はあったかな?」



『何もない。湖上も湖の中もな。平和なものだ』



「良いことだ。いつぞやのマリアベル公国の特殊部隊がここに秘密裏に上陸せんと行動していた時に比べれば、平和な方が望ましい」


サラリと重要機密を口にする学院長だが、ここにそれを咎める存在はいない。



『ふん、あの時の侵入者共か。隠密に長けていると言ってもあくまで人間としては、だろ?我の感覚からすれば瞬時に見破れるレベルだ。しかも我のテリトリーたる湖中から侵入を試みるなど、思わず我としたことが失笑したわ』



「龍を失笑させるとはある意味では偉業だな」



公国の特殊部隊にとっては痛烈な皮肉に、しかし『水龍』はご機嫌だった。



『違いない!龍種たる我を失笑させるなど中々できん事だ!まぁその礼に侵入者共は全て藻屑にして魚の餌にしてやったわ』



愉快気に笑う『水龍』にボルトアも笑みを浮かべる。

確かに目の前の『水龍』はボルトアと対等な条件の元に契約をしている。

しかし龍種は一部を除いて実に気まぐれで、契約内容を反古にすることは古代から珍しい事でもない。

一度でも機嫌を損ねれば色々と厄介な契約相手であるというのは世界共通の認識だ。



しかし、その絶大なる力はそれを補って余りある恩恵を契約相手に与えてもくれる。

特に龍種の中でも上位たる『水龍』の恩恵は召喚・契約魔法にしか才がなかったボルトアを、大陸でも最先端の魔法を研究、一流の人材育成を担う魔法学院最高責任者の椅子に座らせる程には。



ゆえにボルトアは常日頃から『水龍』の機嫌を損ねる事は細心の注意を払って避けている。

だからこそ、時には退屈を紛らわす為に話し相手にもなり、時には『水龍』が欲しがるものも自分の権力、財力をもって全力で用意する。



(物欲などない龍種が欲しがるものは中々に金と労力を使うが……しかしこの恩恵に比べれば安上がりなものだ)



『水龍』とはまた違った意味で笑っていたボルトアに、しかし『水龍』は気付かない。










「つまりはその程度の仲ってことか……ホント、表面的な関係だな」



薄ら寒いやり取りに思わず口が勝手に動いた。

いや失敗、失敗。

奇襲のチャンスが台無しだ。



「!?……誰だ!」


ここの生徒です、そろそろ勝手に卒業するけど。

と、まぁそんな事はわざわざ教えてやらんが。



「死神だよ。アンタを殺す、な」



黒騎士の姿で龍と人との薄ら寒いやり取りに乱入したオレは、すでに臨戦態勢だ。

さて、今回は気張ってやらないと死ぬな。



『神器級』のアイテムのおかげで魔法主体の学院長はあまり脅威じゃないが、『水龍』はちょっと……いやかなりヤバイ。

何せ龍種でも上位存在たる『水龍』が相手なのだから。



オレが設定した龍種はAIたる銀狼は関与していない。

何故言い切れるかって?



……オレが一体一体作成したからですよ!

いやさすがに龍種の下位は適当に作成したけど上位だけは本当にバランスを考えて作成した自信作なんですよ!



大切な事だから2回言いますよ~。

オレの…自・信・作!!

ハッハッハ~…………いかん、過去の自分に殺意が芽生えた。

よりにもよってボルトアの野郎、龍種でも上位の『水龍』と契約してるとは!



ちゃんとオレは設定で『水龍』は独立した存在にしたはずなのにどうやって口説いたんだ!?

ボルトアは確かに魔法学院の最高責任者って肩書きで得意魔法を召喚・契約っていうそれっぽいものにはしたけど、龍種と契約できるスキルレベルじゃなかったよね!?




(後日、銀狼に聞いた話だがどうやら退屈を持て余していた『水龍』からボルトアに契約を持ちかけたらしいと発覚!何好き勝手にやっちゃってんの『水龍』のボケが!!……とわりに本気で叫んだ)




「死神、だと?……ふざけたバカだ。『水龍』、もう一度聞くが最近は湖に異常はなかったのは確かか?」



『無論だ、我の感覚に誤りはない』



「……そうか、ならば貴様は学院の関係者というわけだ?」


おや、早速バレたか。

だが今更正体がバレてもまったく困らんがな。



「……答えはなしか。だがどうやらここ最近の混乱は貴様が原因だろ?生徒の不審な自殺にドルイド教諭の失踪、それに副学院長の殺害……どうだ?」



いやまぁ否定は出来ないな、うん。

最初のナトア殺害以外はオレが原因ではあるわな。



「…概ねその通りだ」



またも沈黙していたら勝手に解釈されそうなので一応答えておく。

しかし……



「やはりか!私の学院にいらぬ混乱を招いた異分子が!!即刻始末してくれる!」



……おかしいな。

完全に一から十までオレの責任になってるぞ?

やはりもっと分かりやすくストレートに言っておくべきだったか?

…………日本語って難しいな。



『ボルトアよ、我の出番か?』



「いや、ここは私直々に片付ける。学院に要らぬ混乱を招いた愚か者に正義の鉄槌を下してやるわ!」



「……ほざくねぇ、どの口が正義とのたまうやら」



オレの言葉など聞こえてもいないらしい。

『水龍』との契約の恩恵の一つ、スキル《水龍の祝福》



これにより水属性に限ってはだが、ボルトアは一流破壊魔法使いと遜色はない。そのスキルをフルに使ってオレに仕掛けてくる。



上等……!

アンタを一気に片付けてさっさと『水龍』戦に専念させてもらうぜ!!

さて次話はバトルスタート!

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