溺死
ものすごくアホな作品ではありますが、最後までお付き合い頂けると大変ありがたいです。
相棒が死んだ。
あっけなく、無惨に。
「別れたい?それ、どうゆうことなのよ!!?」
小さな浴室で、私の声だけが大きく反響する。祐也の声は、水面の揺れる小さな波音に呑まれてしまいそうだ。
「そんな勝手な…ねぇ、祐ちゃん、理由は?好きな女でもできたの?それとも、」
とにかくそういうことだから――噛んで吐き出すような祐也の冷たい語気を、コトバの続きを、もうこれ以上キキタクナイ。
キキタクナイ。
気がつくと私は相棒を浴槽の奥底にまで沈めていた。どんなに耳を澄ましても、波音を殺しても、大好きだった祐也の声は私の耳に届かない。
震える手を離すと、相棒の身体は脱け殻のようにゆらゆらと浮かんでくる。
はぁはぁと荒い息をする私の視線の先で、相棒はうつ伏せのまま、波にされるがままになっている。
どれほどの時間が流れたのか。沸かしたばかりの筈なのに、すっかりぬるま湯になっている。自分のことが酷くバカらしく感じて、自己嫌悪に陥った。
気怠い身体をなんとか起こして、真っ白な相棒と浴室を出る。
改めて眺めた相棒の身体は、全く死を感じさせなかった。外見はしっかり水気を取ったのだから、当たり前かもしれない。
ただ穴という穴から、隙間という隙間から内部が水に浸食された相棒の姿は、言葉に余るほどの喪失感を与えた。
軽く指の腹で突っつく、ただそれだけで素早く反応してくれた相棒はもういない。長く突いても強く押してぐりぐりしても叩いても、相棒は微塵も動く気配はない。
全てを失ってしまった、そんな孤独感に苛まれて、相棒の冷たい身体を抱いた。
そんな時、ふと頭に浮かんだ。
いや、まだ間に合うかもしれないと。
時計を見ると、まだ8時前だった。もしかしたら……脳裏にチラついた希望の光を信じて私は私服に着替え目的地へと駆け出した。もちろん相棒を抱えて。
息急き切って受け付けに向かうと、尋常ではない程に顔面蒼白の私に、流石の係員も驚きと動揺を隠せずにいた。
「きょ、今日はどうなさいましたか?」
“水没”という一言と共に相棒を突き出すと、係員もすぐに合点がいったようだ。
「データが残ってるか確認してきますね」
相棒を係員に任せて、不安ながらも私は店内を物色する。
次はスマフォにしようかな。
閲覧ありがとうございました。
ものすごくわかりにくくてすいません(._.;)
そろそろスマフォに換えようかな、などと考えていたら思いついてしまったんです(笑)
私のガラ携もこんな最期向かえないように気をつけます!!
皆様も、浴室内での通話には、充分気をつけてくださいね。