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出!!!坂田旅館

遅くなりました。

これから更新が遅くなります。

月明かりが外を照らしていた。

電気の明かりで総一郎は二階の窓から外を見ていた。

ゾンビは集まり始めていたが表は家具で入り口を塞いでいた。それに阻まれ、ゾンビが入ることはなかった。

気休め程度だと思っていたが予想以上に効果を発揮してくれていた。

「外の様子はどうだい?」

坂田さんが聞いてくる。


総一郎は窓から外を探りながら答えた。

「ゾンビしかいません」

「そうか…私たちは避難所に向おうと考えたが・・・君たちはどうするかね?」

「勿論、ついて行きますよ!」

横沢が答えた。他の者も頷き、異論はないようだ。

「よかったよ。こちらも助かる」

「いえ、お力になれたらうれしいですよ。」

坂田さんが握手を求めてきたので総一郎が手を握る。

「今日はもう休みなさい」

「お気遣い、ありがとうございます。けど・・・眠れそうもないですね。こんな日は・・・」

「そうだね・・・けど休みなさいよ。部屋はたくさん空いているから」


「はい・・・ありがとうございます。使っていい部屋はどこですか?」

「四階だね・・・三階は女の子が使ってるから・・・」

「わかりました~」

総一郎は階段を上がっていく。


三階を通りかかると荒い息が聞こえた。

総一郎は奇妙に思ってその音がする方向へと向った。

音の場所に辿り着くと女子の部屋の前で横沢がドアの鍵から中を覗こうとしていた。

「何でこんな所にいるんだ?」

総一郎は小さな声で冷たい声で問う。

「いや、覗きとかではない。断じて違うぞ!」

「バカ!叫ぶな!」

その時、ドスドスと足音が近づいて来た。

気のせいか扉の隙間から黒いオーラが見えた気がした。

総一郎はそれに気がつくと走って階段に行く。我ながらよく勘が働いたと思った。


横沢は足音に気付いていないようで「叫んでるのはお前だろ!」とかと言っていた。

総一郎が三階に辿り着くと下では何かを殴る音やビンタの音が聞こえた。断末魔を思わせる叫びも聞こえた。


総一郎は怖くなって手近な部屋に入り、鍵を閉めて布団に潜り込んで眠った。

しかし、総一郎はなかなか寝付けなかった。

暗い部屋で天井を眺めていた。天井のシミが人の顔に見えないようでもない。

『俺は人を殺した』

コレが総一郎に重くのしかかった。

躊躇いはなかった。そして、見捨てたクラスメイト。色々、考えさせられる。


『これからどうなる?』『このまま、死んでしまうのか?』『奴らの仲間入りを果たすのか?』

どんどん、気は重くなっていった。

外から悲鳴が聞こえた。


総一郎は窓に近寄り、外を見て声の主を探すが直ぐに悲鳴は途絶えてしまった。

総一郎の視線はゾンビの一団に移った。

するとゾンビが瞬時に此方を向いた。そして、牙をむき出して、威嚇を始めた。

「!?」

総一郎はカーテンを閉めた。


「はぁはぁ・・・・ばれたか?」

思いっきり、視線が合ってしまった。

何より、何らかの手段でここに人がいるのを知っているから集まってきているのだろう。


総一郎は眠ることにした。

やはり、なかなか、眠れなかったが疲れてはいるので眠った。

外から日差しが差し込んできているようだ。

「~~~~」

「ん・・・」

誰かが顔を覗き込んでいるのがぼやけて見えた。

「そういちろう・・・・」

「わっ!!!」

目を覚ますとそこには葵がいた。


「な、何をしているの?」

「起こしに来た」

「どうやって入った!?」

「コレ・・・・」

葵が持っていたのはマスターキーだった。

総一郎は絶句した。


リビングに降りて行くと森が早速、朝っぱらから突っかかってきたが華麗にスルーをし、食事を始める。

「皆、今日は早めに出ようか・・・裏口には奴らはいないようだよ」

「確かですか?」

「ああ、窓から確認したから大丈夫だよ」

「これで避難所に向うのですよね?」

千咲が訊ねる。

「総一郎君とも相談したがそうなったよ」

「反論する奴はいないだろ?いるなら言ってくれ。」

そう言ったが誰も名乗り出るものは居なかったこれでいいのだろう。


そして、部屋に戻り、準備を始めた。

制服を着て、木刀と包丁を腰のベルトに差し拳銃も腰のホルスターにあり、必要な品の入ったリュックを持って、部屋を出た。

皆は既に裏口に集まっていた。


「奴らは?」

「目視できる範囲にはいない」

横沢はそう答えた。

「私が先に出ますので・・・何かあったら閉めてください」

総一郎はそう言って、木刀を抜いて、誰も反論しないうちに早く出た。


辺りを見渡し、探してもゾンビはいなかった。

腕を振って、こっちは安全だとしらせると皆は出てきて、バスに乗り込んだ。

坂田さんがエンジンを掛け、マイクロバスは発進した。


「気付かれたぞ!」

ゾンビはゆっくり、近づいて来ていた。

「大丈夫だ・・・・大丈夫、安心しな」

不安そうにしている由梨ちゃんを安心させようと声をかける。


外ではゾンビがバスに近づいては轢かれるという事が起こっていた。

いつものバスと同じ道に来ていた。あと少しで警察署のある場所でバスは停まった。


「道が塞がれている!」

「降りるぞ!」

ゾンビが近づいて来ていたバスに残っても死ぬのがオチだろう。


降りるとゾンビが来た。木刀を使って、頭を打ち、倒す。

「走れ!走れ!」

女、子供を先に行かせた。

「横沢!彼女らのカバーを頼む」

「わかった!」

横沢が追っていく。


「で?俺らは?」

「引き付ける・・・」

「へ?」

「いくぞ!」

総一郎はゾンビを転ばせた。

それでゾンビを動けなくさせていく。


しかし、昨日の疲労や筋肉痛で木刀を持つ腕が辛くなってくる。明らかに殴る力も衰えていた。

「はぁはぁ、鍛えないとな・・・」

「これだからダメだな」

森が総一郎のカバーに入った。


「言うだけはあるな」

総一郎は森の動きを見ながら言う。

森はゾンビの噛み付きや掴もうとしてくる手を巧みにかわし、相手の力を上手く流し、ゾンビを近づけなかった。



時計は5分経過していた。

「もう十分じゃないかい?」

坂田さんが言った。

「そうですね・・・退きましょう」

そう言うと三人は走り出した。


警察署へはすぐに着いたが人は居なかった。

「酷い」

辺りには動けなくなったゾンビの死体があった。

自分でも屍を作っておいて言うのはどうかと思うが元は人間なので酷い光景だった。


「・・・!?美月たちは?」

「署内じゃないか?」

「中に行くか?」

「勿論だ・・・・森、一番高い階を探索後に屋上よりゾンビたちの様子を逐一、報告してくれ」

「ささ、探しましょう」

坂田さんに向き直って言う。


無線で横沢と話す。

「無事か?」

「ああ・・・問題が起きている。ゾンビに襲われた。そして、どこか小部屋のようなところに隠れている」

「何階だ?」

「二階にいる。」

「分かった。任せろ」


そして、署内を歩き回る。

総一郎はM60を構えて、歩いていた。

木刀ではリーチが長すぎて、室内では使えないと考えた。広いからいけそうではあるがいざという時に使えないのでは意味がない。

取調室前でゾンビが集まっていた。

無線から森の声が聞こえた。

「やばいぞ!奴らが大量に中に入ってきやがってる!!!」

「了解!すぐに連れて出る。ロープは持ってるな?それを窓の近くの何処かにくくり付けておいてくれ!」

「分かった!急げよ」

「坂田さん、急ぎましょう」

総一郎は銃を仕舞った。


そして、包丁を両手に持った。

ゾンビは三体だった。

坂田さんに木刀を渡して言う。

「ご協力、お願いしますね・・・・」

「ああ、・・・・・分かった。私もやらないとな!子供にばかり任せてはいられない!」

「ありがとうございます・・・一体でいいです。」


総一郎は足音を消して、近づいた。

しかし、ゾンビは気がついた。

(やはり、視覚だけではないのか)

総一郎は歯を噛み締める。


右手の包丁を頭に振り下ろした。そして、掴もうと伸ばしてきた腕を左の包丁で防ぐ。

もう一体が襲い掛かってきた。

右手の包丁を頭から抜く。ゾンビが一体、崩れた。両腕が自由になったが間に合わない。


しかし、坂田さんが木刀を襲い掛かってこようとしていたゾンビを殴り倒した。

「ありが・・・後ろ!!!」

「へ?」

坂田さんの背後からゾンビが首に喰らいつこうとしていた。

坂田さんに飛び掛かるように近づき、包丁をゾンビの額に突き刺した。

そして、胴体を蹴って、包丁を抜き取る。


すると見えてはいたが坂田さんの肩から血が流れているのがようやく理解した。

「ああ・・・・ああああああ!!!」

坂田さんは肩を押えた。

総一郎の頭に一つのことが浮かんだ。

<―――ゾンビ化―――>


映画などでゾンビに噛まれると仲間入りをしてしまうというものだ。

「だ、大丈夫ですか・・・?」

「がぁぁぁぁぁぁ!!!」

坂田さんは叫んだ。


「―――!?坂田さん!!!」

坂田さんは叫び終えるとフラフラと歩き出して、まるでゾンビのようになった。いや、ゾンビそのものだろう。

総一郎はM60を構えた。


照準を頭部に合わせた。

「落ち着いてください!」

「がうぅ?がぁぁ」

「冗談はよしてください!坂田さん!」

息が荒くなる。今、自分の顔を見たら目が物凄く見開いているだろう。

「やめてください!由梨ちゃんはどうするのですか!?」

しかし、一歩、また一歩と総一郎に近づいて来た。

人間らしいところはなくなった。言葉は話さず。涎を垂らしている。


「くっ!すまない!」

あきらめた。実を言うと怖かった。

一発の銃声が鳴った。

初めてで不慣れな反動。そして、銃弾は坂田さんの頭部に被弾する。


「・・・・・・・」

少しの間、死体をただ眺めていた。

まさか仲間に銃を向けなければならないとは思っても居なかった。いや、考えていなかっただけだ。考えたくなかった。


そして、扉を開けた。

中には横沢たちがいたが由梨ちゃんと幸子さんたちはいなかった。

「どうして・・・いないんだ?」

「ああ、由梨ちゃんが目を離した時に噛まれて、奴らになったんだ!」

横沢が声を荒げて言った。

「なるほど・・・そっちもか」

「・・・・そっちも?どういうこと?」

千咲が問う。


「ああ、見ろ」

部屋のすぐ外にいる坂田さんの屍を見せた。

「こっちも・・・こうするしかなかった。」


「そうか・・・」

「急ぐぞ!俺らは生き残るぞ!」

「ああ!」「勿論よ!」「・・・・うん」

皆がそういったので三階に向かった。

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