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脅威と犠牲



日が沈んだ。

長い夜がやって来る。

街灯もなく、夜の走行は放置車両などで危険なのでスピードは出さないようにした。


とりあえず、今は高速道路から降りて、下道を走っていた。

「真っ暗だな・・・・」

幸田さんが言う。


「そろそろ、休めるところがないですかね?」

ずーっと、同じ姿勢だったので皆は疲れきっていた。

「ああ、そうだな・・・」

一旦、車を止めて、地図を調べる。

この車にナビがついていればGPSで一発だったがついていないのでそうもいかなかった。


「ここに公園があるな・・・」


「いや、この状態で眠れと!?」


総一郎は反論した。

ある意味、幸せかも知れない。しかし、余計なことで疲れたくはない。

「そうね、確かに、休めないわよ」


麻美が言った。



「狩野、この先に、コンビニがある。今日はそこで良いだろう・・・」


幸田が狩野に命令した。


「わかった」


そのまま、車はコンビニへと直行した。

総一郎は車を降りた。左足は捻ってから引きずったままであった。


「ゾンビは・・・・いないな」


コンビニの中を覗きながら言う。


狩野や幸田、中島が辺りを見て回った。

その結果、ゾンビはいなかったようだ。



総一郎は車で眠っていた。

横沢、幸田さんがコンビニの外で見張りをしていた。焚き火をして明かりをの代わりにしていた。



「幸田さん、北海道は・・・無事ですかね。」

「・・・・・ああ、きっと、大丈夫だ。どうして、急に?」


「不安なんですよ。この有様を見ると本当に生き残りがいるのか」


「大丈夫だ。何かあっても私達がいるさ。」



「そう・・・ですね。」


横沢は黙る。

「君はもっと、気にしない人間かと思ってたよ」


「なっ、俺だって、心配事もありますので不安にもなりますよ。」

「そうか、それも大切なことだよ。」



「・・・・・・」



「もう、休んで良いぞ。疲れてるんだよ。」

「いや、いいです。」


横沢は焚き火の火を眺める。







夜が明けた。



総一郎は太陽の光が窓から差し込んできたので起き上がった。

外へ出る。


「おはよっす」


「おう、おはようございます」


横沢と幸田に挨拶をする。



コンビニ内からも続々と女性が出てくる。中島さんが最後に車から外へ出てきた。

「今日も長い、一日になりそうだ。」


「まったくだな。」


総一郎の呟きに狩野が答えた。


そのまま、コンビニにあるものを食して出発しようとする。

横沢がもう一台、車を用意してくれたのでそっちに乗り込んだ。



「ん~、しっかし、北海道も遠いね。」


「ああ、だが、今日中に到着できる。」

幸田さんが時計をチェックしながら言う。


炭酸水をゴックゴクと飲みながら総一郎は窓から外の景色を見る。

『人のいない町』か・・・。


外にはゾンビが数体いるだけであった。

グロックをいじっていた。


弾を込めては弾を排出することを繰り返した。

手の上に弾が落ちる。



「総一郎・・・・・楽しい?」


それを眺めていた葵が聞いてきた。

「ん?ああ、夢中になってた・・・・。」



「・・・・・・そう」



そのやり取りから更に三時間が経過した。


「青函トンネルまで、あと少しだ。」


幸田が言った。

ずっと、葵と話していた美月が顔を上げる。

「もう、着くの?」

顔をパァーっと輝かせる。


「らしくない顔だな。」


総一郎は言ってみた。


「うるさいわね。」

今の言葉で機嫌が悪くなったようだ。



その時であった。


後ろを走っていた狩野さんの車が吹っ飛んだ。

「なっ!?」


それは回転して転がっていく。

幸田さんが車を止めた。


総一郎も飛び出して、後ろの車に向った。

狩野さんが銃で窓を割って出てきた。

這いずりながら叫んだ。


「こっちへ来るな!」


すると転がっている車の上に巨人を思わせるような大きさが車一台分くらいの人型の化け物が出てきた。

「ごるぅぅぅ」


狩野が銃を発射する。

巨人の頭に当たるが怯んで倒れこむだけで死ななかった。


巨人は狩野さんを掴もうとしたが同じく頭から血を流した横沢が窓から出てきて銃を撃ったので出来なかった。

「横沢!」


総一郎は化け物を注意を引くために目前で銃を乱射した。

そして、車を利用して巨人の背後へ回る。

「こっちだー!」


力いっぱい叫ぶ。

そして、走っては振り返って、巨人を倒れた車から引き離す。



「総一郎!」


背後から美月や幸田さんが叫ぶ声が聞こえて来る。

無線で走りながら怒鳴る。


「コイツを撒くまで待ってろ!」


そして、走る。

巨人は走っているようだがゆっくりとしていて、小走りしているように見えた。

すると捕まらないせいか付いて来なくなって、車の方へ戻ろうとする。


「こっちだっつーの!」


包丁を背中に突き刺し、包丁の柄を蹴り上げる。

これは効果があったようだ。


巨人は背中に手を伸ばす。

が包丁には届かない。

再び、今度は前よりも獰猛に追いかけてくる。


巨人を振り向いたとき、車から篠崎が出されるのを見た。

ぐったりとして、血が出ているのか赤く見える。

その横には麻美が倒れていた。


しかし、総一郎は巨人に目をむけ、再び、撒く作業に徹する。

この時、木刀を車に置いてきたのを後悔した。


角を曲がり、車との距離も稼ぐことができた。

無線で話す。背後からはまだ、巨人が追ってきていたので走りながらであった。

呼吸が乱れてきている。

そして、左足も痛み始める。先ほどまで痛まなかったのを不思議に思いながら出来る限り走る。



「全員、車から救出したか!?」


<ああ、撒けたか!?>


「まだ、背後にいる!」


<救援を送る!>


「大丈夫だ!?とは言い難いが逃げろ!撒けたら此方の位置を連絡する!」


そして、一方的に切った。

窓を割って、民家に入る。化け物は壁を破って入ってこようとするが一撃では破れないようだ。窓は小さくて入れないようだ。

しかし、時間の問題のようだ。


外へ出れるドアを探す。

キッチンを見つけたのでそこの裏口からでると大きな音がした。

そして、崩れるような音もする。



「化け物が!!」

食いしばり、歯がギリギリと音を立てる。


走って、そこから離れた。

巨人は追ってこなかった。どうやら、撒けた様だ。




「此方、総一郎、撒けた。位置は・・・・待ってくれ。」


辺りを見渡す。

煙草屋、飲み屋が見えた。それを伝えて、拾いに来てもらう。


そのまま、車がやって来る。

「無事か!?」

狩野さんが後部座席から総一郎の手を引きながら言う。


「はい」


そこで麻美、中島、篠崎と横沢がいなくなっているのに気付く。

「ああ、別な場所にいる。」


狩野さんがそう言ったので全員無事だと思った。



そのまま、待機地点まで辿り着く。

そこは薬局であった。

ここなら、色々あるから治療もちゃんとできるだろう。


そう思っていたが実際は既に略奪後で怪我の治療に使えるものは残っていなかった。

麻美たちとご対面した。

総一郎が来た時、中島、麻美は死亡。篠崎は重症で苦しんでいた。

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