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県庁到着


「こっちだ・・・・」


総一郎たちは静かにかつ速やかな行動を求められていた。この状況では当然のことだが今までのような寄り道は決して許されない状況へと変化していた。

全身が緑のゾンビは現場の指揮を取っているのは先ほどのことから何となくは勘付いてはいたがソイツが幾つかの軍団を率いてやって来たのと鉢合わせてどうにか逃げてきたところだった。


「なんなのよあの緑の・・・」

篠崎は言った。


「今は詳しいことは分からないが知能があるのはハッキリしてるね」


「そんな・・・」


「とりあえずは後だ・・・急ぐぞ!」


総一郎は篠崎と話す横沢に言った。

今は焦っていた。だから呑気に話す横沢が気に障った。


(ちっこんな状況なのに・・・・)


角に差し掛かるたびに精神をもの凄く使った。

ゾンビが一体でもいたら緑のゾンビに情報が伝わりこちらの位置がバレる恐れもあった。

とにかく、どんな些細なことでもどうなるか分からなかった。


「どこに行くの?」


麻美がもう歩くのがダルそうに尋ねてくる。


「あまり声を上げるな・・・・出来る限り北の方へ向いたいと考えている。その前に県庁に行こうと」


「県庁?何で?」


「ああ・・それは・・・・」


総一郎の言葉はゾンビの出現で遮られた。


総一郎は言葉より先に動いた。

木刀を振るって始末をした。しかし、その背後から例のピッコロが出現して此方を指差して叫んだ。

その叫びはマレーシア語やイタリア語、朝鮮語ぐらい聞きなれない変わった声であった。


「に、逃げろぉぉぉぉ!」


総一郎は叫んで走り出した。


「こっちだ!!!こっち!!!」


横沢が叫んだ。

そちらには車が止まっていた横沢は窓ガラスを破壊して鍵を開け、中に侵入して何かをしていた。


「総一郎!この車を動かす!とにかく車に近づけるな!」


「できるのか?」


「昔、ネットで見て、親父のでやったことがある!」


「信じるぞ」


「おう!」


「戦えるのはゾンビを近づけるな!」


そう言って、総一郎はゾンビたちに木刀を向けた。

前方のゾンビの胴を突き倒すとその真後ろから前のゾンビと密着するように立っていたゾンビに体当たりをして後ろの奴諸共、倒す。

そいつ等が立ち上がろうとするが頭を潰し動かなくする。


美月、葵は横沢のいる車から撃ちまくっていた。

篠崎は横沢の金属バットで出来ることをしていたが麻美は車内で震えていた。


それを見かねた美月が近づく。


「頼むから貴方も戦って!」


「けど・・・・」


「けど・・・・じゃないよ!ホラッ」


車内から麻美を引きずり出してコッキング式の空気銃を持たせた。

そして、自前の槍を取り出して、敵陣へと突っ込んでいった。


総一郎はバッタバタと敵をなぎ倒していったが数は一向に減らなかった。

その時、エンジンが駆動する音が聞こえた。


「戻って来い!行くぞ!!!」


そう横沢は言うと車を発進させて前衛で戦う仲間の所へと車を移動させてくる。

総一郎は目の前にいたゾンビのトドメを刺すと車に向かって走った。


その時、美月が目に入る。本人は気付いていないが背後から緑のゾンビが素早く近寄っていた。

その動きは並みのゾンビよりも素早かった。


総一郎はM60を取り出し、狙いを定める。

『誤射したら美月は死ぬ』

このようにプレッシャーがのしかかってきて、引き金を引くのを躊躇った。


この間にも美月と緑のゾンビの距離は縮まっていた。

決心して、引き金を引こうとするが別のゾンビが重なって撃てなかった。

総一郎も移動する。前方のゾンビを肩で押しのけて、再び、狙う。


その時、ゾンビが飛び掛って、美月は押し倒された。


「きゃぁぁぁ」

という女性らしい悲鳴を上げた。

総一郎は引き金を引いた。


反動とマズルフラッシュと共に弾が発射される。

その弾は美月を今にも喰らいつこうとしていた緑のゾンビに命中する。

総一郎は走って、近づく。


そして、車が来ると美月を抱えて中に乗り込んだ。


「急げ、急げ!」


「わーってる」


横沢は手をひらひらと振るとアクセルを前回にして車を出した。

ゾンビが人間を喰らおうと車に近づいては撥ねられるという奇行が見られた。





「このまま、逃げられそうね!」


「ええ」


嬉しそうに麻美と篠崎が話しているのを聞いたが総一郎はそうとは考えなかった。

ガソリンがあと少しでなくなると点くランプが点いていた。

どのくらい持つかが肝となる。


(県庁まで持ってくれ)

総一郎はそのように願ったがそうはいかなかった。

車は県庁より結構、離れた地点で停止してしまった。


最初は麻美が文句を言ったりしていたが15分ほど歩くと疲れたのか静かになった。

ここら辺はゾンビが少なかった。


「総一郎、ゾンビ・・・少ない・・・」


「ああ、そうだな」


「けど、どーせ、後からたっぷりでてくるぜ?」


横沢が葵に言った。


「横沢、冗談でもやめて」


美月が言う。


「わるい、わるい」


横沢はそう言うと黙った。


ゾンビは一匹も現れなかった。

しかし、人の気配もなかった。


「あと、どのくら~い?」


先ほどから再び、麻美が口を開くようになってうんざりしていた。


「もう、つかれちゃったー」


地図を確かめてみると今の歩行速度だとあとは20分は掛かりそうであった。


「だる~い、篠崎、何見てんのよ?」


「麻美ちゃん、皆もつかれているんだよ?」


「うっさい、篠崎のくせに」


「おい、うっせーぞ。気を引き締めろ。」


総一郎はそう言った。


小声でごちゃごちゃ言っていたが無視をする。


とにかく、もう少しで県庁だった。

ここらへんは街中で人どころか動く車がないのは異様な光景であった。、


ゾンビが見当たらないとはいえ、警戒を怠る気にはならなかった。

辺りには乗り捨てられた車が多数でその気になれば幾らでも隠れられそうだった。


隠れられそうなところを潰しながら県庁へ向って歩いていく。


歩いていると先の角を何かが曲がるのが見えた。

総一郎はそこまで駆けて行き見てみると三人の団体が走っていくのが見えた。


緑でもないのに走っているところを見ると人間のようだが声をかける前に走って行ってしまった。


「人間?」


「だろうな・・・もう行ったし友好的か分からんからさっさと行くぞ」


美月の疑問に答える。

そして、県庁に辿り着くが人はいない上、辺りにある血痕から襲撃後だとはっきり分からせた。

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