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第26話「第2話で剣を鑑定したドワーフが、王国を見限って押しかけてきた。〜次世代の鍛冶場『IH(電磁誘導加熱)炉』を錬成してやろう〜」

極上の絶景露天風呂を堪能した翌朝。

俺とクレアがテラスで優雅にモーニングコーヒー(似の木の実の焙煎湯)を飲んでいると、要塞の防犯システムが「ピピッ」と軽い警告音を鳴らした。


『飛行する熱源の接近を感知。テラスへの着陸を許可しますか?』

「ん? 誰か来たのか。許可してくれ」


数分後、下から浮遊の魔道具プロペラのようなものを背負って必死に飛んできたのは、見覚えのあるずんぐりとした人影だった。


「ゼェ……ハァ……。つ、着いた……! 噂に聞いていた『空に浮かぶ白亜の城』……本当にあったとは……!」

「あれ? あんた、俺が街を出た日に、ギルドでクレアの剣を鑑定してくれたドワーフの爺さんか?」


テラスにへたり込んだのは、立派な髭を蓄えたドワーフの老鍛冶師だった。


「おおおおっ!! やはり! やはりレン殿であらせられたか!!」

老人は俺の顔を見るなり、感極まったように土下座の勢いで平伏した。


「い、いや、急にどうしたんだよ。グランツ王国で王城の専属鍛冶師をやってたんじゃないのか?」

「あのような泥舟、とっくに見限りましたわい!」


老ドワーフ――ガンダルは、忌々しそうに吐き捨てた。

「あの国はもう終わりじゃ。防壁は崩れ、採掘される鉄鉱石もゴミのような純度。勇者の小僧は『俺の剣が脆いのは鍛冶師のせいだ!』と喚き散らす始末。あんな国でハンマーを振るうなど、職人のプライドが許さなんだ!」


グランツ王国の惨状ざまぁが、こんなところからも裏付けられてしまった。


「それで、迷宮都市へ逃げてきたところ、レン殿が『ガスマスク』なる凄まじい魔道具で特許を取ったと聞きましてな。もしやと思い、有り金すべてをはたいて飛行具を買い、飛んできた次第じゃ!」

「なるほどな。で、俺に何の用だ?」


俺が尋ねると、ガンダルは血走った目で俺を見上げた。


「ワシを……ワシを、この要塞の専属鍛冶師にしてくだされ!!」

「えっ」

「あの日、レン殿が土魔法で生み出した『不純物ゼロの炭素鋼』……あれこそが究極の素材! ワシは残りの寿命のすべてを懸けて、レン殿の素材を打ちたいのじゃ!!」


なるほど。究極の素材を求めるのは、職人のさがというやつか。


俺は少し考えた。

「……まあ、悪くないな。俺は素材の『錬成』はできるが、使いやすい鍋やフライパン、家具の細かい装飾なんかをいちいち自分で成形するのは面倒だと思ってたんだ」


俺がそう言うと、ガンダルの顔がパァァッと輝いた。

「おおっ! では!」

「ああ。あんたの技術と俺の素材があれば、最強の生活用品が作れる。要塞の空き部屋を一つ、あんたの工房にしてやろう」


「ありがたき幸せぇぇっ!! さっそく、火の魔石と石炭を手配して、炉を組まねば――」

「いや、石炭なんか使ったら要塞がススで汚れるだろ。ちょっと待ってろ」


俺はテラスの隅の空きスペースに手をかざした。

【土魔法・構造拡張】で頑丈なセラミックの台座を作り、そこに太い銅線をコイル状に巻きつける。

そして、要塞の動力であるSランク魔石(電気エネルギー)の配線を繋いだ。


「なんだ、これは? 火の魔石もないし、薪をくべる場所もないが……」

「次世代の鍛冶炉、『IH(電磁誘導加熱)炉』だ」


俺は台座の上に、錬成したばかりの純度100%の鉄の塊を置き、スイッチを入れた。


ブゥゥゥゥン……。

磁力線が鉄の塊を貫き、金属内部の電気抵抗によって自己発熱が始まる。


「なっ……!? 火も使っていないのに、鉄の塊が、一瞬で赤熱していくじゃと!?」

「温度管理もダイヤル一つでミリ単位の調整が可能だ。これなら有害な煙も出ないし、いつでも最高の状態で鍛造たんぞうができるぞ」


「あああっ……! 神じゃ……! ここは鍛冶の神の領域じゃあぁぁっ!」


ガンダルはIH炉の前に崩れ落ち、ボロボロと大粒の涙を流して拝み始めた。

電気と磁力による誘導加熱。ドワーフの常識を根底から覆す、超クリーンで超高火力の鍛冶場の誕生である。


「よし、ガンダル。さっそくで悪いが、俺が錬成した『チタン合金』を使って、最高に軽くて焦げ付かないBBQ用の鉄板と、クレア用の新しい防具の装飾を打ってくれないか?」

「お任せくだされぇぇっ!! このガンダル、レン様とクレア様のスローライフのため、骨の髄までハンマーを振るい続けますぞ!!」


こうして、俺の要塞に「ドワーフの熟練職人」という超強力な仲間(便利な生産要員)が加わった。

素材(俺)と加工ドワーフの最強タッグ。

この日を境に、空中要塞の「生活レベル」はさらに異常な速度で進化していくことになるのだった。

お読みいただきありがとうございます!


第2話で伏線を張っていたドワーフのお爺さんが、ついに仲間になりました!

(裏で王国がさらに悲惨なことになっているのもポイントですw)

薪も石炭も使わない「IH鍛冶炉」。理系主人公にかかれば鍛冶の常識も変わります。


【★読者の皆様へお願い★】

現在、本作は「ネトコン14」「春チャレンジ」にエントリーしております!

「IH鍛冶炉ズルいw」「ドワーフのお爺ちゃん良かったね!」と少しでも楽しんでいただけましたら、


どうか、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけないでしょうか!

(あわせてブックマーク登録もしていただけると、本当に大きな力になります!)


皆様のポチッという一手間が、コンテストを戦う最強の武器になります。

引き続きよろしくお願いいたします!


▼次回予告

最強の職人ドワーフが加入したことで、生産のスピードが限界突破!

チタン合金のBBQグリルに、絶対に焦げないフライパン?

次回、要塞のテラスで極上の『天空バーベキュー』を開催します!

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